07.5
※会話



「あ、名前ちゃん!今からバイト?」
「天馬君は今から河川敷?」
「うん!途中まで一緒だね!」
「……拒否権はあっても使わないんだけどね?」
「ん?どうかした?」
「いやー、あんまりナチュラルに天馬君が手を繋ぐから驚きもしなかったなって」




「で、名前ちゃん。オズロックの歓迎会なんだけどさ」
「ああ、それね…私何すればいいんだろ」
「秋ねえの手伝いするんでしょ?」
「いやまあそうなんだけど、やっぱりこういう時って何かプレゼントとかした方がいいのかなって」
「んー…でも誕生日とかじゃないしなあ」
「そうだよね。それに私全然オズロック…さんのこと知らないし」
「名前ちゃん、オズロックのことさん付けで呼んでるんだ」
「だって本当、距離感掴めないの私苦手なんだよ天馬君」
「……………」
「天馬君?」
「お、おれは!?」
「…まあ、天馬君はそのままで問題ないから大丈夫」
「はあ、良かった!」
「い、痛い痛い痛い!力強い!」
「あ、うわあごめんね名前ちゃん…そうだよね、俺このあいだ握力測った時、」
「分かってる!分かってる!宇宙まで行った天馬君の握力が弱いはずがない!」




「で、まあオズロックなんだけど」
「…う、うん」
「オズロックが、月を消したって話はしたよね。ブラックホールの話もしたっけ?」
「うん。ブラックホールがファラムっていう星を呑み込みそうになったんだっけ。で、ファラムは強力な軍事力を持っていて、生き残るために他の星に戦争を仕掛けそうになったとか…合ってる?」
「合ってる!さっすが名前ちゃん!」
「で、天馬君達はどうしてそれで宇宙へ行ったの?」
「オズロックは銀河連邦評議会のメンバーだったんだ」
「ぎ、ぎんがれんぽうひょうぎかい…?」


「簡単に言うと、銃撃戦じゃなくてサッカーで生き残りを賭けた戦いをしようと言ったわけです」
「ひっ!?」
「あ、真名部!」
「すみません。キャプテンが見えたのでつい。…あなたが噂の名前さんですか」
「……ええっと、どんな噂を聞いているんでしょう」
「名前ちゃん、俺悪いこととか言ってないから!」
「"案外心配性で世話焼きなのにクール路線目指したいっぽい面白いお姉さん"と聞いています」
「嘘と本当のことを混ぜるんじゃない!あとクール路線なんか目指してない!」
「"すごいお兄さんがいる"とも聞いていますね」
「それは否定しない…」



「でもすごいね、天馬君達が負けてたら私達みんな死んでたんだ…うわあ実感ない」
「そりゃあそうでしょう。そもそも、僕らが宇宙に行っていたことも公開されていませんし、今更言っても実感が沸かないですしね」
「それで名前ちゃん!オズロックの本当の目的はファラム・オービアスを乗っ取って全宇宙を支配することだったんだ!」
「へー…ところで天馬君、なんで腕に絡みついて……全宇宙を支配?はあ?」
「所謂テロリストというやつですね」
「ちょっと待ってそれ私聞いてない」
「でもオズロックには悲しい過去が…あっ商店街だ」
「えっ天馬君?」


「じゃあね名前ちゃん!バイト頑張ってねー!」
「天馬君話の続き!すっごく気になる!」
「名前さん、今度僕のソウルもお見せしますね」
「そ、ソウル?化身じゃなくて…?じゃない!天馬君待ってってば!」
「名前ちゃーん!ばいばーい!」
「……ば、ばいばーい……」


**


「よろしくお願いしまーす…」
「………」
「…なんですか飛鷹さん、怖い顔して」
「……いや、顔が」
「顔が?」
「疲れてるんじゃないのか」
「それが飛鷹さん聞いてくれますか!?実は宇宙人とテロリストとオズロックとクール路線なんて目指してないって言ってるのに天馬君が絡みついてきてっ!」
「…………」
「…………」


「すいません落ち着きます」
「おう、頼むぞ」


五日目:バイト前



(2015/01/19)