07


「…歓迎パーティ?オズロック…の?」
「そう!親睦を深めるのに一番良いって天馬が言うの。名前ちゃん、今日は飛鷹君のところよね。明日も?」
「はい、明日は8時半に交代で…ええっと、それまでなら」
「じゃあ、少し早めに準備をするわね。手伝ってもらえる?」


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秋さんの申し出を断るなんてそりゃあもう天地がひっくり返っても出来るはずない。毎日ごはんを食べさせて貰って、寝る場所を提供してもらって、お弁当を作ってもらっているのだ。断るなんてしたらバチが当たりそう。そこまで我儘をいう訳にはいかない。


「で、飛鷹さんは宇宙人って信じますか」
「…店長」
「……店長は宇宙人って信じますか」
「今お前のとこに住んでるんだろ」
「飛鷹さんどこでそれを」
「すっかり飼い慣らされた猛犬が楽しそうにな」
「あー…飼い慣らされた猛犬……確かに」
「言い得て妙だろ」


私は餃子を包みながら、飛鷹さんは野菜を切りながら一緒に働く中学生の姿を思い浮かべる。確か剣城君だっけ、手懐けたの。天馬君達と仲の良いサッカー部の子。会う度に抱きついてくるその猛犬は、最近常に幸せそうでちょっぴりジェラシーだ。年下だからこそだろうか。純粋でいいなあとか、青春だなあと思ってしまうあたり自分はダメだと思ってしまう。


「飛鷹さん、私と彼女の違いってなんですか」
「顔」
「……いやまあそれは当然ですけどね」


餃子の皮に水を付けた指で、くるりとハートなんか書いてみたり。ううむ、私にも良いロマンスの気配はないものか…「ところで飛鷹さん」「…店長」「……店長!本当の店長はいつ帰ってくるんですか」「分からん」何度目か分からないやり取りをまた繰り返して、響木さんに宇宙人のことを話してみたいなあなんて考えた。人生経験豊富な響木さんなら、サッカーで宇宙を侵略しようとしたっていう宇宙人とそれなりに仲良くやれるコツを知っているかもしれないのに。


五日目:午後



(2015/01/16)