リュゲルEND2
(夢主死亡ルート)


ガンダレスが好きだ。
でも、ガンダレスは私を嫌っている。

―――詳しく言うのなら、私を兄を苦しめる害悪として認識している。


**


「ありがとう、リュゲル」


頭の中がクリアになっていく。真剣な目で頼れと言ったリュゲルに頼ってしまえば、もう苦しむ事なんて無くなるんだろう。でも、同時に私は最低な人間になってしまうように思えた。リュゲルを裏切るなんて出来ない。リュゲルはいつだって私の大切な、それこそたくさんの時間を共有した友人だ。


「俺は礼を言われるような事なんて」
「…ううん、そんなことないよ。リュゲルは本当に優しいね」


だからガンダレスもリュゲルの事が大好きで大切で依存している。私も恐らく、無意識のうちにリュゲルの優しさに甘えきっていた。その甘えた態度がリュゲルに、抱かなくても良い感情を抱かせたんだ!つまり私の甘えがガンダレスの不幸に繋がったということ。だから全て悪いのは私だ。せめて好きな人に――大切な二人に私のせいで嫌な気持ちを抱いて欲しくない。そのためには、もうきっと一つしかないのだ。


「あのねリュゲル、一つだけ聞いて欲しいの」
「なんだ?なんでも言ってくれ、ナマエ」
「うん!私はね、リュゲルの事が大好きだよ!」


駆け寄ったのは大きく開いた窓で、外に向かって思いっきりそれを叫んだ。振り返るとリュゲルが酷く驚いたような、面食らったような、でも赤い顔で私を見つめている。「な、な、っ」ああ、びっくりさせてる。次の瞬間には廊下の奥で何かが開く音がして、図書室の扉からガンダレスが飛び出してきた。リュゲルはそれに気がつかないまま、ぼうっと私を見つめている。ぱたぱたと走る音が耳に入っているだろうに。


「…本当、か」
「うん。本当だよ、でもごめんね」
「え?」
「私がリュゲルを好きになる資格は無いみたいなの」


ぱたぱた、がばたばた、に変わっていく。「リュゲル兄!」駆け寄ってきたのは当然ガンダレスで、苛立った顔の彼は私を仇でも見るような目で睨んだ。「…ガンダレス?」リュゲルがガンダレスに振り向いた瞬間、とても強い風が吹き込んだ。リュゲル兄に触れるな、とでも言いたそうなガンダレスの顔に思わず口元が緩む。ごめんね、ガンダレス。好きな人を苦しませるつもりなんてなかったのに。

開いた口から声は聞こえなかった。私はガンダレスに、大丈夫だよと言いたかったのかもしれない。でも一瞬でガンダレスの表情は目の前から消え去った。最期に見た表情は初めて見るものだったから、きっとリュゲルにすら見せていない表情だから、それだけ持って私はどこか遠いところに行きましょう!




(2014/01/30)

出すのとても躊躇った…窓から落ちてます。言わなきゃ分かんない感じがする