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あの後、スタジアムを駆け回ったが不思議なあの男の姿は無かった。同時にファイアードラゴンの選手の姿も見当たらなかった。――じゃあ本当に、彼らは溶けてあの緑色の液体になってしまった?「……んなアホな」流石に頭が悪い私でも、すぐにそれを肯定してしまうようなことはできない。

とにかくは監督だ。監督に聞きたいことが山のようにある。ただいまみんなは絶賛ミーティング中だが私は別行動を取らせて貰いますよ!ミーティングに来ない監督を呼びに行くという名目で目指すは監督の部屋である。もしあの人(…人?)の言うことが真実であれば何かしら知っているはずだろう。気持ち全力ダッシュの早歩きで監督の部屋を目指して廊下を曲がる。すると目の前にみのりちゃん。


「…えっ?」
「っわあああ!?」


―――どこぞの少女漫画のお約束ですか、これは。


**


「いやあ、そそっかしくて本当にごめんねー」
「……いえ、気にしていませんから」


ぶつかってきたのがイケメンではなく私だったし、みのりちゃんもさぞかしがっかりだったことだろう。私としては大歓迎だしここからみのりちゃんとのラブロマンスが始まっても何の問題もないですが以下略。そんな事を言っている場合ではない。

しかしぶつかった衝撃でみのりちゃんを押し倒してしまったわけだが……「柔らかかったなー、うん…」「苗字さん?」「すいません出来心です」いかん危ない、口に出てたか。でも本当、女の子って感じがしてドキドキしました。しかし見た目は華奢な美少女なのにところどころに鍛えられている感じがあったところとか高ポイントですよ?みのりちゃん可愛いなー!やっぱりお近づきになりたいです!


「え、なんで遠ざかってくの?」
「…………」
「ちょっ、何か言ってみのりちゃん!」
「…………」
「や、やめよう?私をそんな汚いものを見るような目で見るのやめよう?」


そんな目で見ていません、と距離を取った場所からみのりちゃんは言うけれど、まったく説得力がない。目を逸らしてるのがほら証拠です。うわあああ嫌われた!?嫌われたの!?とりあえず好感度は下がったのが確定だったようです。ああ、これから常に一定の距離を保たれるんだろうな……後で葵ちゃんか好葉ちゃんかさくらちゃんに慰めてもらおう。


「そういえば、こんなところで何をしているのですか」
「え、私?ああ、監督のところに行こうと思って」
「黒岩監督なら今、部屋にいらっしゃるかと」
「良かった!ありがとうみのりちゃん」


八割は喜び二割はドン引きされた行動を誤魔化すつもりで笑顔。結果、みのりちゃんが少しだけ目を見開いたのを私は見た!常に目を細めているからレアですねありがとうございます!明るい気分になれて気分も上々です。さあて、監督を問いただしますかね。



好感度は上がったり下がったり



(2013/11/09)

みのりちゃんイベントを書きたかった結果。
鍛えられてるうんぬんはあれ、喧嘩してたっていうし多分強いと思います可愛い