4主に声が届かない



「ねえソロ、知ってる?虹の根元には、宝物が埋まってるって話」
「知らない」
「探しに行きたいんだけど、どうかなあ」
「…虹なんて、いつも出てる場所違うだろ」
「それだけ、世界にはたくさんの宝物があるってことだよ。だからほら、」
「行かない」
「どうして?」


「ここに居なきゃいけない」
「…でも、もうここには魂しか残ってないよ」
「だから、ここに居なきゃいけない」
「ソロ、魂とは言葉を交わせない。…あなたは」
「交わしたいから、ここに居たいんだよ」
「外に出ようよ。理由なんてなんでもいいんだよ。ソロ」


「…気持ちだけもらっとく」
「ねえソロ、夢見てまた旅に出ようよ。笑ったソロの顔が、…私もシンシアも」
「シンシアはここにいる。ここに俺が存在することを望んでる。…母さんも、父さんも、師匠も、ピサロに殺されたみんなが、」


「魂はみんな、あなたがこの村から解放されて、新しい道を歩むことを望んでる。復讐に囚われることも、運命に囚われることもない。我らが天空の勇者はどうして、飲まず、食わず、ただただそれが運命だと、果てに辿り着いたと決めつけ、皆と同じ場所へ逝きたいと望むのでしょう。それが勇者の願いだとしても世界は、…私は、私達は、決してそんなことを望んだりしないのに。ねえソロ、お願いだから、虹の根元に希望を探しに行こうよ。私たちと一緒に生きていこうよ。ねえ」


20161201

天空の勇者に仲間の言葉は届かない