クロニコとヒストリカのともだち


「あれ、ヒストリカは?」
「ヒストリカならさっき、最上階に登ってっちゃったよ。調べきれていないことがあるかも、って」
「研究熱心な友人を、邪魔するわけにはいかないかな」
「いいんじゃない?友達が遊びに来たって知ったらヒストリカはすごく喜ぶよ」
「うん、…それがすごく嬉しいから、何度も来ちゃうんだよ」
「まあでも、集中してるヒストリカの邪魔をしたくない気持ちも分かるし、しばらくここで僕と話していく?」
「そうしてもいい?」
「よくなかったら、こんな提案しないよ」


「それでさ、気になってたんだけど」
「ん?」
「この間、帰り際にあいつと何か話してたでしょ」
「…あいつ?ロジクルさんのこと?」
「そう。ヒストリカが心配してたよ。恥ずかしいことを吹き込まれたんじゃないか〜って」
「そんなことないよ。ロジクルさんは、妹思いの良いお兄さんだったし」
「過保護だけどね」
「それは否定しない」


「でも、ヒストリカみたいに可愛い妹がいたら、幸せだろうな」
「ナマエは兄弟とか、いないの?」
「居るよ。今はちょっと、遠いところにいるけど」
「それは寂しいね。…ヒストリカもなんだかんだ、あいつが来たら嬉しそうだ。あ、ナマエが来たときはもっと嬉しそうだし、本当に幸せそうだよ」
「ヒストリカはかわいいね」
「うん。かわいいひとだよ、すごく」


「クロニコは、」
「あ!ナマエっ!ききききききていたのか!?!?!?クロニコどうして教えてくれないんだ!」
「…ヒストリカ、戻ってきたよ」
「う、うん。ヒストリカ、ちょっと遅い時間だけど、クッキー焼いたから遊びにきたよ。いつもお疲れ様」
「………まさかこれは伝説のさ、さし、差し入れ…!?ナマエ!ありがとう!ありがとう!拝みながら食べるよ!」
「拝まなくてもいいよ!」
「良かったね、ヒストリカ」
「クロニコ!お茶だ!」
「はいはい」


「お茶を入れるのが上手い、そんな助手のことなんてヒストリカの友達は知りたがらなくてもいいんだよ。ヒストリカだけ、見てればいいよ」


20161025