私は声を大にして主張したい。

「いや別にね?いいんだよ?いいんだよ!どっちのマネジだろうがいいんだよ!でもだからってひどくない!?いや春夏秋冬断然可愛さよりどりみどりで!秋さんも春奈ちゃんも夏未さんも茜ちゃんも水鳥ちゃんもスーパーマイエンジェル葵ちゃんも!黄名子ゃんも向こうに行っちゃったし!?人手は足りるよねそうだよね知ってる!でもさ!でもさあ!?言いたい!私は声を大にして言いたい!だって剣城が向こうにいるんだよ!?どうして私向こうじゃないの!?豪炎寺さんの応援もしたいしそれにねえ気になるのカノン君って円堂さんのひ孫!?ひ孫って!ねえ!私!向こうがい、」

「苗字名前さん」
「なんですか砂…デザームさん!?」
「私とフェイの胃痛がですね」
「…………あっ、はい」


そんなわけで、超次元ドリームマッチの敵チームのマネージャーとしてベータちゃんに気が付けば拉致されていました。いや、だってしょうがないよね…いきなり現れた二重人格美少女に、名前さんっお願いがあるんですけど…!なんて迫られたらそりゃ誰だって着いて行くよ!ちなみに本来の予定では葵ちゃんを攫ってくる予定だったらしいのだけど、デザームさんとフェイ君がこのチームに葵ちゃんを一人マネージャーとして置いた場合胃痛がやばいことになりそうだと判断し私に白羽の矢が立ったのだそうだ。矢を立てた白竜君からシャイニングドラゴンをひっぺがすしかない。ちなみに白竜君の意見を採用としてベータちゃんの背中を押したという若き日の姿を取ったヒャッハーな明王兄さん曰く、

『名前ならいいんじゃね、最終的には選手で使えば。まあ出さねえけど』

らしい。本当に解せない。呼ぶんならサッカーさせてよ!剣城と!




「そんなわけで、今日からマネージャーとしてドリームマッチの日まで俺達をサポートしてくれる苗字名前ちゃんです。はい拍手ー」
「わ、わー…………ヒロトさんなんで髪立ててるんですか?」
「ああこれ?グランだから」
「どうしよう全然分からない…!」


ぱらぱらぱら、とまばらな拍手が起こるけれど全員拍手しないのか!ってことより気になる事が多すぎるのだ。目の前のヒロトさん(グランさん、と呼んで欲しいそうな…)に頭を抱えると砂木沼さんが(どことなく宇宙人っぽく見えなくもないようなメイクのまま)、凄まじい憐みの目線を送ってきたので目を逸らした。ここはどこ、私は誰…


「剣城には悪いが、練習相手が増えるしサポートも出来る。且つ俺としては剣城のやる気を更に引き出せる苗字、お前の存在は最高だ!頼りにしているぞ!」
「うん剣城が私をきっかけにやる気出してくれるのは純粋に嬉しいんだけどね!?」
「なんつーか、アンタ純粋に運無いよなあ」
「瞬木に言われると本当にそう思い始めるからやめてほしい」
「精々頑張って俺達のために働いてくれよな、名前チャン」
「明王の兄さんキャラ違うけどこれも基山さんみたいなやつでいいの…」
「よォ苗字名前、会いたかったぜ。キズモノにした責任はいつ取りゃいい?」
「えっキズモノ?な、なにそれ!?記憶にない!記憶にないから!」
「まったくゥ、連れてきた私には何にもないんですかー」
「ベータちゃんありがとう本当にありがとうベータちゃんのサポートなら心を込めて全身全霊を注いで本当なんでもしちゃうんだけどこの面子ちょっと胃痛が、」
「その、名前さん!」
「なにかなフェイくん!?」



「……頑張りましょう」
「…………お、おう…」


**


なんというか、全てを悟るにはフェイ君のその一言だけで十分すぎるぐらいだった。「へー、結構やるね。ナツミ以上かも」「おっそりゃどうも、でも夏未さんは…な、夏未さんだし…料理は…うん…」ロココさんにおにぎりを渡しながら現実から逃げるべく、話中の夏未さんについて考える。いかにもお嬢様といった気品と、好きな人のために海外へ飛んでいける情熱。熱さ。ああ、そういえば私もサッカーするための許可取りに行ったら剣城が追いかけてきてくれ………うわあ剣城…剣城が足りない…


「苗字名前」
「はいなんでしょう!」
「だらしない顔をやめろ」
「……う、ウッス…」


バダップさんは全体的に手厳しい。なんというか、私にはやたらと手厳しい。ヒロトさんが言うには(グランさんって呼ぶのはどうしても慣れない)未来からドリームマッチを応援しに来る良い人がいるのだとかなんとか。自分が不在のあいだに不埒な輩に不埒なことをされていないか心配で心配でたまらないのだとか。でもドリームマッチには応援に来るらしいからそれをとても楽しみにしているのだとか。ちなみに私への自己紹介で、自らを神をも喰らう鬼だと称したときにふと思い出したのはアフロディさんだった。全力でとても逃げて欲しい。


「苗字名前」
「今度はなんだ!」
「さっさと機械を運べ。貴様なら余裕だろう」
「……まあ私の方がオズロックより身長は高いもんね?」
「御託はいい。早くしろ」
「…お、おう…」


本当なんでオズロックがいるんだろう…案外真面目にDFの特訓をしてるのはいいと思うんだけど、辛辣というか辛辣というかツンツンというかデレが見えないというか…最初の久し振りだな、はもしかしたらオズロックなりのデレだったのかもしれないと考え始める今日この頃。このメンバーの中でオズロックと面識があるのは瞬木と私だけなのもあって、案外ヒロトさんに私はコミュニケーション的な面でも頼られているのではなんて。いやでもヒロトさんも凄いよなあ…コートに入る前はいつも通り穏やかな微笑みで今日も練習頑張ろう、ドリームマッチまであと何日、なんて言ってるのにコートに入ったらずっと怖い顔キめてるんだもの。いやそれは明王の兄さんも同じで割とそれには引いてるんだけど、


「おい苗字名前!」
「ベータちゃんの声なら喜んで振り向くんだけど…どうされましたか名もなき小市民さん」
「サルとフェイ、それから俺の練習に付き合え」
「あっ割とまともだった…ちょっと待ってねタオル畳んじゃうから」





(2015/06/11)

そろそろ出してもいいかなあみたいな…ドリームマッチの話。最初のくだりが書きたかっただけのやつ。あのメンバー本当フェイ君の唯一の良心感すごいですよね