キスされてキョドる不動


ちゅう、と。リップ音は何故だか誇張されて大きく響いたように感じた。

目の前には目を見開いて、少し頬を赤くした不動がいる。なん、てめ、いま、と口をぱくぱくと動かして、私を見上げてくる。拳を握っている姿に思わずにやりと笑っていた。


「不動君さー、普段からすっげえキチった顔でサッカーすんだもん。でもそんな顔も出来んのな。コーチ安心ですよ」
「はあ!?ふざけんな、ウザイんだよ!」
「えっなあに、初めてだった?ファーストキスだった?」
「ンなわけねえだろ!」
「じゃあ減るもんじゃないしいいんじゃん?」


飛んできたボールをひょいっと避けて振り返ると、声にならない叫び声を上げている不動君の姿が見えた。まったく、真帝国学園の中でもあなたが一番分かんないんだよねー不動君。コーチそれなりに色々調べているんですけどね?影山さんの秘密兵器、みたいな事ぐらいしか聞いてないもの。

まあでも、一つ分かったことがある。唐突なキスには弱いみたいですね不動君。あと耳元も弱いみたいだ。「おい名前!覚えてろ!」「え、今度は不動君からしてくれんの?」「違っげええええ!」




(2013/12/21)

なんかあたふたする不動書いてみたかった