オズロックとお情け
※妄想成分たっぷり


多分、これは"いけないこと"に分類されるんだろう。あまりよく素性も知らない、宇宙人と唇を重ね合わせているのは罪になるんじゃないだろうか。何よりみんなには良く思われないだろう。それでも私の顔を捉えて私の酸素を無理矢理に奪う彼を拒めない。


「……っ、ふぁ」
「良い顔だ」


絡ませた舌をようやく離して、酸素を吸い込んだ私の声は自分でも驚く程に弱々しかった。それを見てにやり、と口元を歪めるこの異星人は本当に良い性格をしていると思う。――そんなところも嫌いじゃない。はは、と小さく笑って見せると歪んでいた口元が途端に元に戻って目が少し見開かれた。膝の力が抜けて床に座り込む。抱きとめてはくれないんだと思いつつも再び乾いた笑い声を上げて、不可解だとでも言いたげな彼をゆっくりと見上げて微笑んだ。


「……いいの?」
「今更何を」
「だって私はもうすぐ死ぬのに」


――もう既に、私達のチームの敗退は決定してしまった。星を明け渡すのは決定事項だ。せめて最後の時間を一緒に過ごすのだと、チームのみんなは星に帰ってしまった。それなのに私だけがこの、巨大な宇宙船の一室で大会の主催側の一人と唇を重ねているなんて。「死ぬと分かってて求めてくれるんだね、オズロック」そもそもは、想いが通じたことそのものがおかしかったのかもしれない。

私だけを生き残らせるなんて、そんなのは誰も望まない。「贔屓は駄目だよ、そんなの……」「知っている」誰も幸せにならない、と言おうとしたところで腕を引かれて無理矢理立たされた。そのまま壁に背中が叩きつけられる。顔の右横に彼の左手があって、ふと視界に映ったのはオズロックの右手に仕込まれているレーザー。ああ、


「最後だからだ。君が一番幸せだと思った瞬間に、名前という種を私が絶やそう」



それはなんて素敵なプレゼントなんでしょう


(2013/10/19)

オズさん素敵だと思うのです