皆帆と推理ドラマ


「皆帆、犯人誰だと思うー?」
「そうだね……僕の推理によると、あの清掃員が犯人かな」
「へえ、清掃員?皆帆君まだまだ甘いねー!」
「じゃあそういう苗字は誰だと思うんだい?」
「んー、あからさまに怪しいあの男の店員は無いでしょ?私はあのバーの女の人かな」
「ふっ」
「うわ鼻で笑いやがった!バカにしてる!じゃああの清掃員だって思う理由は何?そもそもトリックどうするの。アリバイあるのに」


「簡単だよ。あの清掃員の男は被害者に過去の因縁で恨みを持っていた。何より死亡推定時刻の少し前にあの部屋に入っていったという目撃情報が決定打だ。被害者の男は娘に発見された時、眠ったように死んでいたんだろう?凶器はまだ見つかっていないけれど、僕が思うにおそらくアイスピックのようなもので殺害されたんじゃないかな。首の後ろについているっていう小さなキズがおそらくそうだ。睡眠薬でも飲ませて眠らせ、そこで殺せば眠ったようにしか見えない。痛みすら感じずに逝ってしまっただろうからね」
「へえ、結構考えたね?」
「当然だよ。そういう苗字はどう推理したんだい?」


「その前にだけど、清掃員の男の人はどうやって被害者に睡眠薬を飲ませたの?」
「……これから考える、かな」
「人がいるのを確認して、すぐに出てきたんでしょう?多分清掃員の男の人も被害者を殺そうと思って部屋に侵入したんだろうけど、確認したら既に被害者は殺されてたんじゃないかな。床に死体が椅子から崩れ落ちるように倒れていたのはきっとそのせいだよ。で、私があの女の人を犯人だと思う理由だけど……首の後ろから注射器で濃い睡眠薬を流し込まれたんじゃないかな?ほら、女医って言ってたし。被害者はあの女の人と遅くまでバーでお酒を飲んでたんだから、アルコールの後に睡眠薬をがっつり流し込まれたら眠るように死んじゃうんじゃない?で、自分は素知らぬふりして死体のある部屋に『では、今日はありがとうございました』って言って出ていくだけ。どう?」
「ふうん、なかなかやるね?」
「へへ、まあね」


「でも穴だらけだ。清掃員の男はどうして死体を発見した時点で警察に連絡しなかったんだい?」
「……そ、それは……今から考えるというか」
「それにいくら酔っていたとはいえ、被害者が首元に注射を打たれて抵抗しないはずがない」
「分からないよ?半分眠っていたのかもしれない」
「無駄な足掻きだよ。……ふっ、僕の方が真実に近い推理だと思うな」
「それはどうかな?絶対私の推理が当たってるよ」






「…まさかの展開だったね」
「…………苗字、二度とこのシリーズは見ないようにしないかい?」
「うん、二度と観ない。"相方"の方がいいな」



まさかの自殺エンド

(首の後ろのキズは、最初から被害者が抱えてたものらしいです)

(2013/06/06)