夜空に描く君の顔(アスタ)
※アスタ夢のはずなのにサンしか出てこない
※フランたちがイナダンで過去に来る前の話 という設定
『好きな人はいる?』
『………まあな』
多少言い淀んだものの、はっきりとした意思を見せて告げたアスタ。目の前が真っ暗になった気がした。アスタが想っているのは恐らくフランだろう。そうとしか考えられなかった。私だって彼女を大事に思っている。
アスタに抱く感情とフランに抱く感情は勿論まったく別のもの。
でも大事に想う気持ちは少し似ていて、だから私は大好きな二人が幸せになれるならそれでいいと思う。
「何だいそれ」
「………サン、言葉と行動が合ってないよね?」
優しい笑顔でデジトニアスUの銃口を私に向けるサン。恐らくジョークなのだろうけど笑えない。いや本当笑えないから
ここ最近沈んでいた私を夜、こっそり連れ出してくれていたのはサンだった。
サンには唯一自分の気持ちを打ち明けていたし、相談もしていたから自分の出した結論を聞かせるには丁度良かった。
聞かせ終わると案の定お怒りのようで銃口を向けられたのだけれど。
「自己犠牲で悲劇のヒロイン気取りかい?」
「……そんなんじゃない、と思う」
「思う?随分とあやふやだけれど」
「だって私はフランに一番に幸せになって欲しいからさ」
「…………ふうん、名前にしては共感出来る意見だ」
デジトニアスUの構えていた銃口が降ろされる。代わりにぱし、と軽くサンに頭を叩かれた。自分の言葉に嘘偽りはない。自分の想いよりも遥かにフランの幸せの方が大事だと思う。彼女がいなかったら自分は今頃ここにはいないのだから。
私とアスタとサンにとって最優先されるのがフラン。フランの幸せのためなら身を引く事なんて惜しくない。
「でも姉さんがアスタを恋愛対象として好きかどうかは別問題だろう?」
「フランはともかく、アスタは……サンと違ってフランを姉として見てるわけでもないのにずっと支えてる」
それが友情か家族愛か、恋愛感情かなんて私には分からない。でもそれがもし恋愛感情ならば、私はアスタの邪魔になりたくない。
何より私の気持ちとフランの気持ちが重なってしまう事が怖い。私の想いがこれ以上大きくなるぐらいなら、
――――今ここで、殺してしまいましょう?
「辛くないのかい?」
「フランとアスタとサンが幸せになれるなら辛くないよ、笑ってられる」
だって大好きなんだもの。アスタならずっとフランの笑顔を守れるだろうし、それはきっと私には出来ない。
「自分の幸せはいいのかい?」
「じゃあ聞くけど、サンは自分の幸せと私達の幸せならどっちを取る?」
「フランと自分かな」
「え゛っ!?」
「……嘘だよ」
少し意地悪に微笑んだサンはいい性格をしてると思う。――やっぱ気持ちは一緒なんだ
殺した感情が目から出てきてこぼれ落ちそうになったので空を見上げた。砂漠の夜空は星が輝いていて宝石箱みたい。なんとなく、夜空にアスタの顔を思い浮かべてみる。隣にサンがいてくれるからか心臓は思ったより痛まなかった。
夜空に描く君の顔(名前、泣いてる?)
(……ちょっとね)
(はい、ハンカチ)
(うわあ準備良いなあ……ありがとう)
(ねえ名前)
(我慢しないで、泣いていいと思うよ)
(2013/03/19)
フランとアスタとサンの間に、アスタかサンを想う女の子を入れるのならば
多分その子もフランの幸せを一番に考えて気持ちを殺すんじゃないかと思った結果
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