報われない向日葵(男主)

※男主でBLです。苦手な方は急いでUターンを




俺は男であいつも男で、なのに何故だか胸の鼓動は収まるところを知らないようだった。自分は"そういう趣味"ではないと思っていたのにまさか、こんな。
でもあいつの仕草や立ち振る舞いや、満面の笑顔にどうしても胸が弾んでしまう。触れた手首の細さに戸惑って、濡れた瞳はあまりにも卑怯で……まるで同性とは思えなくて。
もしかしてアイツは女なんじゃないかとかそんな事を考えたりした。けれどもそんな事は無く、やっぱり俺達は同性で。
それでもこの想いは募るばかりだった。ああ、どうしてこんな事になったのだろう


「……かり、や?」
「………………」


自分の下に組み敷いたその肢体は細くて柔らかくて―――困惑に揺れる瞳でさえ、愛おしい。
資料室の奥の奥。一緒に日直だなんて中学生らしいじゃないか。この状況は年齢にそぐわないのだろうけど。……いや、普通は有り得ないな。こいつも俺を気持ち悪いと罵って批判するんだろうか。
確かに歪んでいる。歪んでいるんだろう。けれども素直にこいつが好きだと思う。


「なあ、苗字」
「なんだよ、つーかどういうつも、」
「俺、お前のこと好き」
「………………………は?」
「友達としてじゃない。見りゃ分かるだろ」
「………な、っ……!?」


ああ、やっぱり驚くよなあ―――なんて客観的にこの状況を見る自分。もうどうにでもなれ、なんて自暴自棄になってる自分。いいじゃないか。想いを伝えられただけ嬉しいよ、俺は。
愛なんて知らなかった俺がお前なんかを、……男をこんなに好きになれたんだ。
苗字の口がゆっくりと動くのが見えた。くっきりと浮かぶ喉仏がぴくりと動く。……ああ、

――――拒絶されるのは、こんなにも恐ろしい事なのか


「かり…―――ッグ!」
「…………言わないでくれ、頼む」


気がつけば自分の手は苗字の口を塞いで押さえつけていた。何故?怖いからだ。今ので組み上げてきた友人関係は木っ端微塵に粉砕されたのだろう。
その上『もう近づくな』なんて言われたら俺はどうすればいい?――どうすれば、いい?


「……困らせて悪ィな、苗字。でも俺別に今何かしようってつもりは無えから」
「なん、で」
「今まで通り友達―――ってのはもう無理だからさ、言わせてくれよ」


―――せめて、これからもお前を想わせて




報われない向日葵

(せめてそれぐらいは、許してくれますか)


(2013/03/10)

初めてBL書いたごめん、狩屋君まじごめん犠牲にしてごめん
男夢主視点で続くかもしれない。報われるか報われないかは未定

というかやっちゃった臭……