目金さんを呼んでくれ


「どうだ俺様の力!見ただろう名前!」
「……………」


フィールドから大声を張り上げ、私の名前を使命して大声で叫んできたザナークにもうなんて返せば良いのか分からない。
絶句である。彼のネーミングセンスに絶句である。
惚れている惚れていないは関係ない。ちょっと自分の目を疑った。耳も疑った。


「名前ちゃん、返事しなくていいやんね?」
「あれは返事したくないかな」
「……まあ、分かるっちゃー分かるぜよ」


渋い顔で錦先輩が肩を叩いてくれた。あ、ちょっと泣きそう。何せ一日経って戻ってきたと思ったらこれなのだ。
ザナークが居るなら未来に残ってもいいかな、なんて考えていたけど……別れた方が良いんじゃないだろうか私達
正直に言うとあんなザナークにもうついていけない。どの口で小市民なんて言ってるんだあいつは。台風とミキシマックスする小市民がいるか!小市民ってレベルじゃないよ!


「おい名前!聞いてんのか!?お前もこれからは俺の事を『スーパーザナーク』と呼べよ!」
「………もうやだあいつ………」
「苗字泣くな、耐えてやれ」
「三国母さん……っ!」
「誰が母さんだ誰が」


苦笑する三国先輩の背中にすがりつく。何やってんだテメエ!とザナークの声が飛ぶ。何やってんだはこっちのセリフだ。全女子に問おう。ある日彼氏がスーパーとか言いだしたらどうしますか?私は別れたい
スーパーって何だスーパーって……某海賊船のサイボーグなの?そうなの?
俺は強いがよく吠える……か。とりあえずコマンドは『いますぐわかれる』だな!


「ザナークさん、後でお話がありますのでとりあえず今は試合に集中して頂けませんか」
「お前どうした?……まァいい、すぐに見せつけてやるさ!このスーパーザナーク様の力をな!」
「黄名子ちゃん、私の目から何か出てませんか?」
「それは間違いなく涙やんね」


何この羞恥プレイ。ギャラリーもあるのに何故私を使命して叫ぶんですかザナークさん……何やら溢れ出した涙を拭って再びグラウンドに目を向けた。そして逸らした。


「『グレートマックスなオレ』!」


あー、今日は良い天気だなー…………もうやだ恥ずかしくて死にたい



目金さんを呼んでくれ

(あのネーミングセンスをどうにかしてくれないと)
(私はもう彼とお付き合い続けられない気がします)

(見たな?見ただろう名前!)
(どーだァ!強いだろう?強いよなあ!)

(出来る事なら見たくなかったよ!)
(ガンマ君とナルシスト同盟組んで来い!)


(――でもやっぱ、惚れた弱みと言うのでしょうか)
(かっこいいなんて、認めてやりたくないな)



(2013/03/14)

グレートマックス記念。
友人と「ザナークとガンマでナルシスト同盟組めば良いよ」って話をした結果。