源田と成長期娘


「お腹すいた」
「……お前は本当にいつもそればかりだな」


呆れたように笑った源田がまるで、私が女の子らしくないと言っているみたいで思わず頬を膨らませていた。「しょうがないじゃん!これでも朝はしっかり食べて、お昼もしっかり食べて…」頭を使って勉強して、それから部活。帝国学園といえば有名なのはサッカー部だけれど、私の所属する陸上部だってそれなりに練習はハードなのだ。

動いて食べて動いて食べて、眠って起きてまた動いて食べて。単調な生活のなかでの最近の癒しは、源田の出してくれるおやつだった。「ほら、いじけるなって。今日は握り飯な」「やったー!ありがとう源田!大好き!」「……」笑顔のまま無言になった源田が差し出した、綺麗なさんかくのおにぎりに飛びついてラップをゆっくりとはがすと、のりたまふりかけのおにぎりが目の前に現れた。きゅるう、と鳴いた腹は炭水化物を求めている。


「いっただっきまーす!」
「ゆっくり噛んで食えよ、ほらお茶はここな」
「ほひはのへんひゃ、ふぁんふぇひろいへはほ」
「……どうしたの源田、なんで白い目なの?」
「ん!」
「それはだな、言葉の力ってのをしみじみ思い知らされたからだ」
「?」





(2014/04/29)