NON

名前と露伴はいつの間にか海に来ていた。
潮風が優しく頬を撫で、潮の香りが鼻をくすぐる。


「露伴、無茶するなぁ」

「うるさいな…あのメンバーで年明けを過ごすなんて、うっとおしくてかなわない」

「せっかく承太郎に会えたのになぁ」

「…君ね、ぼくと承太郎どっちがいいんだよ」

「…………露伴かな」

「随分間が開いたな」


海で人気が少ないと言っても、ガヤガヤと賑やかな音がここまで聞こえてくる。
もう、今年も終わりに近いのだろう。


「なんか…あれだね」

「何だよ」

「…新婚旅行」


初海外は新婚旅行だと思っていたんだ。と名前が笑う。
予想外の言葉に、露伴は心臓が止まりそうになる。
だから、いきなりは反則だ。


「君は本当に馬鹿だな…」

「酷い!いいじゃんかよ」

「悪いとは言ってないだろ」


じゃあ、今から新婚旅行だ。
露伴は名前に何かを放り投げる。
暗い中それを危うげにキャッチした名前は、中身を見る前に泣きそうになった。


「何これ…もう、なんなの露伴…」

「いらないなら返せよ」

「いるよ馬鹿!露伴の馬鹿!」

「口が悪いな…」


 
それを開けると、中には指輪がある。
ベタだとか何だとか言う前に、あの露伴がやったことだと理解して欲しい。
名前はついに絶え切れなくなり、涙をあふれさせた。


「おい、泣くなよ。泣かせたら殺されるんだぞ」

「こんなの、反則だよ…!露伴なんか大好きだ」

「そうかよ…不本意だがぼくもだよ」


頑張って音量を上げたおかげで、名前にも聞き取れたらしく、また涙があふれた。
ガヤガヤとした賑わいは一層増して、お決まりのフレーズが聞こえて来る。


「年が明けたみたいだな」

「泣きながら新年迎えたのは初めてだ…」

「じゃあ今年はいつもと違う一年になるんじゃないか」


それもいいかもしれない。
名前は涙を拭いて、あけましておめでとう、と笑った。



END


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