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NON ある日の放課後。 みんな用事があるといって帰ってしまった。 特にやることもない名前は、図書館にでも行こうと足を進めた。 「エニグマ、ありますか?」 恐る恐る図書館の館員の人に言うと、なにやらカチャカチャキーボードを叩き、ありますよ、と言った。 良かった。なかったら恥かくところだった。 館員の人が一旦書物庫に行き、一冊の本を持って出てきた。 どうぞ、と渡された本。 「ありがとうございます」 「貸し出しはできませんので」 まぁ借りるつもりもない。 人気の少ない場所の椅子に座り、本を開く。 内容は、実に奇妙であり、いろいろな単語がてきとうに並べてあるだけだ。 まぁ、シュレッダーの中の紙をてきとうに集めたのだから当たり前か。 名前は最初から本自体に興味はなかった。 「エニグマの少年よ、本としての生活はどう?」 『!』 「ちゃんと聞こえてんのかな…」 本に話しかける名前は、違ったらかなり恥ずかしいな、と思いつつ本に話かけた。 本にされたエニグマの少年は、ビックリしつつも答えた。 「一回見たかったんだよねー!マジで本なんだ」 仗助の知り合いだという名前に、もしかしたら助かるかもしれないとエニグマの少年は希望を持ったが、名前は本当に見たかっただけだったらしくそのまま図書館に返されてしまった。 思わず助けを頼んだが、「貸し出し禁止だから」という理由で断られた。 これからも、本を読む人間を観察する日々が続きそうだ。 前 | 戻 | 次 |
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