NON

噴上裕也は落ち込んでいた。
偶然にも名前達の会話を聞いてしまったからだ。
偶然と言うか、名前の匂いをスタンドに追わせていたら空港に着いて、物影に隠れていたらそんな話がスタンドを通して聞こえたのだ。
それはストーカーであるが、本人曰わく「愛ある行動」らしいので、そこには触れないでやってほしい。


「ま、マジかよハイウェイ・スター…」


スタンドを通して聞こえた声は確かに名前だ。
噴上は人目も気にせずがっくりと地面に手をついた。
まさに〇| ̄|_の格好である。
他人からすればただの変人だが、噴上自身は「あぁ、俺って落ち込んでる姿もカッコイイぜ…」なんて思っていた。


「何やってんの…?裕ちゃん」

「名前!」

「つーか何でこの場所にいんだよ」


見送りを終えた名前達が外に出てきたようだ。
久しぶりに見る名前は何だか綺麗に見えて。
これが恋の力か、などと噴上は一人で納得した。
その相手が自分ではないことも悟り、落ち込んだ。


「名前…もう俺のものにはならねぇんだな…」

「は?どうした裕ちゃん…」

「あっ!そういえば何かガシガシうるさいと思ったぜ。お前つけてたな!?」


ズバリ仗助に確信をつかれ、噴上は目をそらす。
とどめに億泰が「それ知ってるぜぇーストーカーだろ!」と追い討ちをかけた。


「ストーカーじゃねぇよ!名前が何処に行くか気になっただけだっつーの」

「世間一般ではそれをストーカーだと言うんだがな」

「何だぁ岸辺露伴!やんのか!」

「いきなり喧嘩ふっかけないの!」


族らしく喧嘩を売るが、名前に言われては噴上も黙るしかない。
忘れている人も多そうだが、噴上は族である。確か。


「くっそー…見てろよ、いつか振り向かせてやる!」

「言ってろ、ガキ」

「二人ともやめな…くていいかも」

「どっちだよ」


露伴と裕ちゃんの会話!と心の中で喜ぶ名前に、仗助がツッコミを入れた。


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