NON

名前が家に帰ると、露伴はソファに座って一息ついているところだった。
顔を真っ赤にさせて帰ってきた名前に、露伴はまたか、と呟いた。


「今度は誰なんだよ」

「承太郎…」

「何?杜王町に来ているのか?」

「ヤバかったー。死ぬほどかっこよかったよ!」


目の前でそこまでべた褒めされると、面白くない。
名前はそんな露伴に気づかず、承太郎に思いを馳せる。


「耳元で愛してるだよ!?殺す気かと思ったね!」

「はぁ!?」

「危うく惚れかけたー」


名前は少しばかり言葉が足りない。
案の定露伴は勘違いをしているようだ。
いきなり初対面で告白とは…などと考えていた。
そして何故か対抗心を燃やすのは、恒例となっている。決してネタ切れではない。


「名前、あああ、愛し、てる…」


かなり小さい声の上に、どもりすぎで、全然耳元ではないが、露伴は真っ赤になりながらも言い切った。
そんな露伴を前に、名前はアハハと笑う。


「知ってるよー」

「え!?」

「漫画がでしょ?承太郎はヒトデだったよ」


露伴は開いた口が閉じないようだ。
ようやく理解したらしく、なんてくだらない対抗心を燃やしてしまったんだ、と自分を攻めた。


「じゃあ部屋戻るけど、紅茶かなんかいれようか?」

「いや…いい…」

「そ」


顔の火照りが治らない露伴を置いて、名前はパタパタと階段を上った。
自分の部屋のドアを閉め、ずるずると砕けたように腰を下ろした。
顔色は、先ほどの露伴と良い勝負か。


「は、反則だ…!」


かなり名前のツボに入ったらしい。
何度も思い出しながら、照れ笑いを一人でしている光景は、なんだか微笑ましかった。


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