NON

仗助が「杜王町に承太郎さんがくる」と言って一週間が経った。
しかし未だに承太郎はこの町に来ない。
どういうことだ仗助!


「知らねーよ…来週行くって言ってただけだって」

「どんだけ私が楽しみにしてると思ってんだよぉぉ!」

「名前、そんなに承太郎さんに会いたいのか?」

「あったりまえじゃん!」


例に漏れず私は承太郎が大好きだ。
3部のやんちゃ承太郎も4部のクール承太郎も6部の親バカ承太郎も全部好きだ!
そう言ったら仗助は不思議な顔をした。
どうやら子持ちだと知らなかったらしい。


「マジかよ〜承太郎さん子持ちかよ」

「かなりの親バカのね!」

「!うわっ…俺は別に…何も言ってないっスよ!」

「は?何言ってんの仗助」


急に焦りはじめた仗助に疑問を覚える。
と、同時に後ろから聞こえた。
うん。確実に「ゴゴゴ」音が聞こえる。
ゆっくりと後ろを振り向くと、噂のあの人。


「承太郎ー!!」

「誰が親バカだ」

「本物!本物だよこいつ!ヤバいって!」

「仗助、何だこいつは」

「名前!ちょ、承太郎さんしばくの止めろよ!すみませんっス承太郎さん…!」


興奮してバシバシ承太郎をしばく私を、仗助が必死に止める。
こうして私は承太郎と運命の出会いを果たしたのだった。


夢のようです。
あの空条承太郎が目の前にいるなんて!


「と、言うわけなんス」

「なるほど…理解しがたいが、まぁ納得はした」

「んで、名前はスタンド見えるらしいっス」

「そうなのか?おい、名前」

「!承太郎が名前って!うわぁぁ名前に生まれて良かったぁぁ!」

「…」

「じょ、承太郎さん、名前はまだ自分のスタンド見たことねぇんスよ」

「…そうか」


若干承太郎が引いているような気がするが、そんなの関係ないって誰かが言ってた。
だって君たち、目の前にあの承太郎だよ?
我慢できるか!


「そういえば承太郎って何で杜王町に来たの?」

「名前、承太郎さんにタメ口使うなよ…」

「ヒトデの研究だ」

「やっぱり!承太郎ヒトデ大好きだねー!可愛すぎる!」

「名前…!」


仗助がオロオロと承太郎と私を交互に見ている。
それにしてもやっぱり承太郎はヒトデ大好き説は間違ってなかった!
そう言うと、「前回来たときに足りなかった研究材料を採りにきただけだ」とのたまった。
嘘つけ!ヒトデ大好きなんだろ!正直になれよ〜。


「しつこいっ!少し離れろ」

「やだー。ヒトデ大好き愛してる〜って言うまで離さない」

「新手のいじめかそれは」

「おい名前、承太郎さんの迷惑になることは止めろよ」

「…いい、仗助。言えばいいんだな」


承太郎は私を引き剥がすことを諦めたらしい。
ようやくヒトデ愛を白状する気になったか!
承太郎はゆっくり私の耳元で囁いた。


「大好きだ。…愛してる」

「ーッ!?」

「承太郎さん!?」

「ヒトデをな」

「反則だっ…!承太郎のバカやろうーッ!」


ニヤリと不適な笑みを顔に浮かべながら、承太郎は色気たっぷりな声で言った。
そのフェロモンに耐えきれなくなった私は、急いでその場を逃げ出したのだった。


前 | | 次

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -