NON

今日はいい天気だ。
露伴は原稿が忙しいらしいし、暇だから散歩にでも行ってみようか。
杜王町の地図は頭に入ってるから大丈夫さ!


「ちょっと散歩行ってきまーす」

「名前、ちょっと待て」

「なに?」


ちょうどコーヒーを飲みに降りてきていた露伴に呼び止められた。
露伴の方を向くと、何かを投げ渡される。
どうやら携帯のようだ。


「自分のは使えなかったんだろ?持って行けよ」

「マジすか!ありがとー!」


何だか申し訳ない。
でも、来週からバイトやるから、携帯代ぐらいは自分で払おう。
んで、露伴を驚かせてやる。
私は露伴からもらった携帯を持って、家を出た。
しばらく歩くとドゥ・マゴが見えてきた。
うわぁ!本物だよ!吉良もここに居たんだよなぁ!
漫画で見たそのままの景色に感動していると、目の横に、ある人物が映った。


「!!」

「じゃあね裕ちゃん!」

「おーまた明日な」


噴上裕也だ!ハイウェイ・スターの!裕ちゃんだ!ミケランジェロだぁぁぁ!
じっとそのままの見ていると、目があってしまった。
そして何を思ったのか、裕ちゃんはこっちに近づいてくる。
うわぁ!もしかして知り合いになれる!そういえばこれ夢小説だったぁぁぁ!


「どうしたの?迷子?それとも俺の美しさに見惚れてた?」

「ぶっは!あはははは!面白い!」

「え、いや面白いこと言ってねぇけど」


さっそくのナルシスト発言に、いきなり吹いてしまった。
さすが裕ちゃん!それでこそミケランジェロだぜ!
でも近くで見る裕ちゃんはマジにかっこよくて、思わず惚れ惚れする。


「ほら、やっぱ俺に見とれてるでしょ」

「うん。かっこいい!」

「…正直だな、アンタ…ちょっと照れるぜ」

「裕ちゃんでも照れたりするんだ!」


それは露伴の専売特許だ。
と、何故か裕ちゃんがびっくりした表情になる。
あれ?なんか変なこと言ったっけ…?


「何で、俺の名前…」

「あ」

「もしかしてストーカー…」

「いやいや、さすがに自意識過剰すぎ!」

「じゃあ何者だよ、アンタ」


裕ちゃんの後ろに、人が現れる。

あれはまさしく…!


「ハイウェイ・スターだ!かっこいい〜!やっぱスタンドはハイウェイ・スターが一番好きだ!」

「へ?スタンド見えるの?」

「ハイウェイ・スター欲しい!ね、ちょっとバラバラになって!」

「聞けよ」


何を隠そうスタンドで一番好きなのはハイウェイ・スターなのだ。
あのデザインは神だ!
ぶっちゃけると、実は裕ちゃんよりハイウェイ・スターの方が好きだ!


「なんか…害はなさそうだな、アンタ」

「ないよ、害なんか。裕ちゃんと話したかっただけ!」

「やっぱ俺のこと知ってんの?」

「話すと長くなるからあんまり話したくないんだよね…」


計3回話すのはちょっとしつこすぎる。
けど、裕ちゃんはそこまで詮索してくる気はないらしい。
なんて物わかりのいいやつだ!


「過去のアンタより、今のアンタの方が気になるからな」

「くっさ!超クサいよ裕ちゃん!」

「人の口説き文句をクサいの一言で済まさないでくれないかな…」

「口説き文句?誰口説いてんの?」

「アンタ」


裕ちゃんはニヤリと笑って私を指差した。
ちょ、人を指さしてはいけません、って習わなかったのか!
…って、え?


「私!?何で!」

「何でって…女の子口説くのに理由はいらないんだぜ」

「なんだ、ただのナンパか」

「違ぇよ!俺はナンパしねぇの。いつだって本気だぜ」


そう言うと、裕ちゃんは私の顔に手を添えて、上を向けさせられた。
裕ちゃんとの顔の距離が近くなる。


「名前は?」

「苗字名前……てか顔近いんだけど」

「近づけてるからな」

「何で!」


逃げようとしても、所詮男の力には適わない。
いやいやいや!なにこれ!ギャグ夢じゃなかったの!?
あと少しでマウストゥマウスになってしまうところで、私と裕ちゃんの顔の間に手のひらが現れた。


「あ、露伴」

「名前、心配してきてやったら……こんなところで何してる」

「裕ちゃんが無理やり!」

「あら、お二人さんお知り合い?」

「…帰るぞ」

「ちょ、露伴?何怒ってんの」

「怒ってない!」


いや、かなり怒ってますよね、あなた。
露伴に掴まれた手首が少し痛い。
裕ちゃんを振り向くと、また会おうなーと手を降っていた。
しかし裕ちゃんに口説かれるとは思ってもみなかった。
思い出したらなんかまた恥ずかしくなってきた…。


「何赤くなってんだよ」

「え?いや、ちょっとドキドキした…」

「…(直接的なのに弱いのか…?)」

「裕ちゃんかっこよかったぁ〜」


そう言うと、露伴は何だか膨れっ面になった。
ななななにこれ!殺す気か!もだえ殺す気か!!


「でも露伴が一番好きだからね!」

「……はぁ」

「何でため息!?」


もういい、露伴が言うと、手首を掴んでいた手を離し、私の右手を握った。
何が起こったか分からない私は、しばらくフリーズしてしまったが、露伴の行くぞ、という声でやっと正気に戻った。


「うぇぇ、と、ろ、露伴、?」

「何だよ……名前、顔が真っ赤だ」

「露伴だって真っ赤じゃんか!」

「ぼくのは夕日のせいだ!」

「今昼だよ!?じゃあ私も夕日のせいにする!」


まだ見ぬ夕日に責任をなすりつけ、私と露伴は手を繋いだまま歩いた。


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