NON

放課後になり、私達はトルサルディーに向かった。
このまま真っ直ぐ行ったら霊園がある。
形兆兄貴が眠っているとこだ。
お墓参りに行きたかったけど、なんだか億泰の前で言い出せないで、そのままトルサルディーに入ってしまった。
まぁ、今度ひとりで行こうかな。


「イラッシャイマセ、オヤ、そちらの方は…」

「名前です!」

「トニオ、なんか名前に美味いもん食わしてやってくれよ」


かしこまりました、とトニオさんは私の手を見た。


「大分疲れが溜まっているようですネ。ストレスも…」

「ストレス?名前ストレスあんの?」

「ストレス?うーんないと思うけど、こっちに来て楽しいことばっかなのに」

「こっちに来て…とは?」


ああ、まためんどくさいことになってしまった。
だけどそこは仗助が上手いこと簡潔に説明してくれた。


「名前、異世界から来たんだよ」

「OH!そうなんですか!」

「すげー簡潔にまとめたね…」

「ならその時になんらかの形で溜まったのかもしれませんネ」


そういうと、トニオさんは料理を作るために奥へ引っ込んだ。
そのとき、バンッと扉が開く音がした。
そこから覗いた顔はまさしく。


「あ、お父さん」

「誰がお父さんだ!」

「露伴…来たのかよ」


露伴はスタスタ席に近づくと、私と仗助の間に椅子を置き、どっかりと座った。
なにこれ!そういう考えは自重することにしたのに、露伴がそういうことするから妄想が止まらなくなるんじゃないか!
露伴はそんな私の考えを感じ取ったらしく、眉間にシワをよせて、周りに聞こえないような小さな声で囁いた。


「おい、勘違いするなよ。別に仗助の隣に座ったわけじゃあないからな」

「ハイハイ。ツンデロハンめ…」

「君なぁ!ぼくはちゃんと異性が好きなんだよ!仗助だってそうだろう」

「知ってるよ…妄想くらいしたっていいじゃないか…」

「ったく…人の気も知らないで…」


露伴がブツブツ言っている間に、トニオさんの料理が運ばれてきた。


とりあえず今日は、疲労回復の効果がある料理と、肌荒れを直す料理を食べた。
疲労が原因で肌も荒れていたのだ。
いやートニオさんの料理ならどんなもの疲労なんて吹き飛んでしまいそうにおいしかった。


「おおおー肌がすべすべだ!」

「そんなに?触らして」

「ホラ!やっぱりトニオさんは最高っすね!」


仗助は私のほっぺを触りながら、おぉ〜とか言っている。


「おい、いつまで触ってるんだ」

「……なんか、マジでお父さんみたいだな」

「ぶはっ」

「何!?笑うな名前!」


もう食べたんだから良いだろう、と露伴は私の首根っこを掴んでトルサルディーを出た。
なんかよくわからんが不機嫌だなぁ…思春期の中学生かよお前は。
そこまで考えて、中学生な露伴を想像してしまいまた吹き出した。


「何がおかしいんだよ…また変な妄想してるだろ」

「妄想が趣味ですから…」

「はぁ…」


あ、今日一番大きいため息だ!と言ったら、露伴はお前のせいだ!と私の頭を小突いた。
なにこれ!痛い。これ夢小説じゃなかったのかよ!


そういえば、と露伴はニヤリと笑った。
唐突だな。悪い予感がするぞ。


「名前は、ぼくが好きなんだろ?」

「うっわ〜いきなり自意識過剰発言出たよ!」

「『露伴が一番好き!』と書いてあった」

「やっぱり!余計なとこばかり見やがって!」


最初にヘブンズで読まれたとき、マジにすべて見られたらしい。
確かにジョジョキャラでは露伴が一番好きだったよ!悪いか!


「まぁ否定はしないけど、本物に会ってからいろんな人の印象も変わったからなぁ」

「何だと?」

「とりあえず、仗助が思ってた以上にかっこよくて優しいかった!」

「…(仗助め…)」

「それと、億泰が思ってた以上に可愛かったし、康一くんも思ってた以上に優しかったし、由花子も思ってた以上に綺麗で怖かった!」

「最後のは褒めたのか?」


とにかく、実際に会ってみてみんな株が急上昇したのさ。
欲を言えば承太郎とかジョセフにも会いたいなぁ。


「…ぼくは?」

「ん?」

「だからっ!ぼくはどうなんだよ!」


露伴が顔を赤く染めて睨んだ。
何で照れてんだ、このツンデロハン…。
そんなに自分の評価が気になるのか。まぁ、漫画家だしな。(?)


「うーん、そうだなぁ」

「……」

「やっぱり露伴が一番好きかな!」


これ以上無いってぐらいの笑顔で言ったら、プイッとよそを向かれた。
何だよ…正直に言っても怒るんじゃないか…。(←違います)


「……ならいい」

「へ?」

「うるさいっ!お子様は早く寝ろ!」


失敬な!4歳しか離れてないのに!
こんないい女(笑)をつかまえとおいて!
って、誰だよ(笑)つけたの。


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