NON

おはようございます、と露伴の前を通る。
露伴は朝食の準備をしているらしい。
机の上にはキラキラと豪華すぎる、一流ホテルで食べるような朝食が並んでいた。


「うぉぉ!露伴て料理できたんだ!」

「君はぼくを誰だと思ってるんだ」

「岸辺露伴大先生です!!」

「分かっているならいい。食べてよし」

「いっただっきまーす!」


パクリと口に頬張ると、美味しい香りがまだ眠い脳みそを優しく起こした。
まさに!これこそ!


「んまぁぁあい!言ってみたかったんだこれ!」

「?まぁ、褒めてるのか?」

「天使のような料理人だあんたはぁぁ!」

「やっぱりバカにされてるのか」


とかいいつつ、露伴は私の前に座った。
いや、これはマジに美味いっすよ!
そうだ、今度億泰にトニオさんとこ連れてってもらおう。


「名前、ちょっと聞きたいんだが、君はどうやってこの世界に来たんだい?」

「いきなりですねー。うーん…なんか、気付いたら屋上から飛び降りてて、最後にピンクダークの少年見たかった!って思ったら、杜王町に来てた」

「屋上から…名前、何かあったのかい?」

「覚えてない」

「……」

「……あー美味しかった。じゃ、学校行ってきます」


露伴の刺すような視線に耐えられなくなり、私は急いで家を飛び出した。
本当に何もない。何も。


「ぼくのヘブンズ・ドアーに隠し事はできない…」


名前の居なくなった部屋で、露伴は呟いた。


「だけど、あの1ページ…真っ黒に塗りつぶされていたら、いくらぼくでも読みとることはできなかった」


名前がこの世界に来たときの描写も、いきなりボヨヨン岬に落ちるとこから始まっていた。
きっと屋上から飛び降りた、と言うのもあの真っ黒いページに書いてあるのではないか。
露伴はいつもより豪華な朝食を見下ろして、冷めてしまったコーヒーを飲んだ。


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