NON

康一くんは塾があるらしく、露伴の家には来ないらしい。
康一くんは私が敵じゃないのなら特にどうでもいいらしく(ひどいぜ!)、明日詳しく聞かせてくれ、と帰って行った。
康一くんが来ないとなると、由花子も行く気にはなれないらしく、同じセリフを吐いて(ちょっと怖かったけど)、去っていった。
というわけで、今私は仗助と億泰と一緒に下校しています…!
どうしよう!興奮が抑えられませんよ!


「おい、何ニヤニヤしてんだよ。お前名前は?」

「へ?あぁ、名前でいいよ」


分かった、名前。と仗助が私の名前を口にした。
もう…今死んでもいい…。
すると億泰も横から「俺も名前って呼ぶぜ」なんて言うからいよいよ脳内パンクしそうになった。
そうこうしているうちに、何度見ても嫌みとしか言いようのない岸辺邸に着いた。


「露伴ーただいまー!」

「ただいま!?」

「なんだ…もう帰ってきたのかよ…。学生なら学生らしく遊んで帰ってこい…」


なぜそんなに早く帰ったことに対して不満そうなんだ。
露伴は仗助と億泰を確認すると、むっと顔をしかめた。


「何でこいつらが居るんだ…」

「ちょっと名前のこと説明してもらいに来たんスよ」

「貴様っ、迷惑かけるなと言っただろう!」

「でも!康一くんにはかけてないよ!」

「ならいい」

「俺らはいいのかよ」


まぁとりあえず上がれ。と露伴は私たちを家に上げた。

夢のようです。
仗助、億泰、露伴が一堂に会してるなんて!


「はぁ…名前のせいでお前ら、とくに仗助の顔なんか見たくないんだがな…」

「俺だって別に見せたくて見せに来たわけじゃないっスよ…」


もうそんなやりとりにすら興奮しちゃいます、露伴先生!
そんな私に気づいたのか、露伴は私を見て若干引いたのが分かった。


「と、とりあえず露伴、説明よろしく」

「何!?なぜ全部任せようとするんだお前はっ」

「一回露伴に話したからもう一回同じこと言うのはめんどくさい」

「この変態は…」

「え?名前変態なのか?」

「え!?違うよ億泰!露伴の方がどうみたって変態じゃん、蜘蛛舐めたり自分の指シャーペンでぶっさしたり…」

「は?名前、チンチロリンの時のこと知ってんのか?」


思わず話の核心から言ってしまった。
しかし変態とは心外だ!億泰も簡単に信じないで!


「うーん、チンチロリンってか、承太郎が来たところから、帰るとこまで全部知ってるの」

「承太郎さんまで知ってんのかよ…」

「まだ言えば、承太郎がエジプトまで行ってDIOと戦ったのも見た」

「見た?一緒に居たのか?」


私は結局露伴に話したことを仗助にも話した。


全てを話し、信じられない、といった顔をしている二人に「全部本当だ」と露伴が追い討ちをかけた。
やっぱり自分たちが漫画の住人というのは結構ショックなのだろう。


「でも、今の仗助も億泰も、自分の意志で動いてるんだから、関係ないよ。元気出せ!」

「お、おう…」

「露伴、もう一個聞きたいんだが」

「…なんだよ」

「名前、スタンド使いじゃねぇのか?」


確かに露伴は私の全てを知っているはずで(それこそ知られたくなかったことも)、スタンド能力があるならそれも知っているはずだ。
しかし露伴は小さく首を振った。


「ああ、ヘブンズ・ドアーで見たときには何も書いてなかった」

「やっぱりかぁ…じゃあなんでスタンド見えるんだろ…」

「ジャンケン小僧の時の例もあるからな。だが、今はない」

ということは、もしかしたら私にもスタンドがあるかもしれないのだ!
どうしよう!だって自分のスタンドなんて、ジョジョファンの夢だよね!


「なんだ、ニコニコして…そんなに嬉しいのか」

「当たり前じゃん!」

「まぁ敵じゃないならいいけどよぉ…」

「気になるな〜名前のスタンド!」

「そうだよね!どんなんだろう。かっこいいのがいいなぁ」


ひとまず、信じてもらえたようで安心した。
そして、忘れていたのだが、康一くんと由花子にもまた同じ説明をしなくちゃならないことを思い出し、少し憂鬱になった。


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