NON

名前はまだ館に居た。
あれから帰ろうとしたのだが、DIOがもう外は真っ暗で危ないから泊まっていくといい、と勧め名前も了承したのだ。
さすがに泊まるの嫌がると思ったのだが、またもや名前はじゃあお願いしちゃおうかな、などと予想外の反応をした。
DIOは最初こそ自分を油断させるための芝居じゃあないのか?と疑ったが、次第にただのアホだと気づいた。


「名前……さすがに知り合って初日の相手の家に泊まるのはどうかとおもう」

「えっだってDIOさんがいいって言ったんじゃないですか!」

「それはそうだが」


何故か普通に会話してしまっている。どうも名前と喋ると気が抜けてしまう。調子が狂う。いつもなら、自分に怯えきって餌になるか、陶酔しきってそのまま餌になるか、人間の女などその二択だったのに、DIOは想定外だらけの名前に少し興味がわいていた。


「貴様みたいな人間は初めてだな」

「人間は、って、DIOさんも人間じゃないですかー」

「……」

「え?ちょっと、なんで黙るんですか」

「人間ではない」

「はい?」


吸血鬼だ。とDIOが言うと名前はポカン、と口を開けてDIOを見た。
マヌケ面だな、とDIOは思いつつ、これでさすがのこいつも怯えるだろうと思った。


「いや……吸血鬼って……いやいやいや!」

「信じないか?今ここでお前の血を飲み干してやってもいいんだが……」

「えっやだ!友達の血飲み干すの?!」

「……吸血鬼だと知ってもまだ友達でいるつもりなのか」

「友達になろうっていったのDIOさんじゃん……」


あっさり信じた挙句、怯えもしない。DIOは正直楽しくて仕方なかった。変なやつだ。
名前的には、一目見たときから人間ぽくない人だな〜と漠然と思っていたので、吸血鬼と言われたらあ〜なるほど〜やっぱりねくらいのものである。世界は広いし吸血鬼の一人や二人いるだろう。まさか海外初友達がそれだとは思わなかったが。


「貴様は変なやつだな、おもしろい」

「ありがとうございます?」

「まぁ、楽しませてもらえそうだし生かしておいてやろう」

「えぇ、殺すつもりだったの!?」

「……今は殺すつもりはない」

「最初は殺すつもりだったのか!!」


こうして名前とDIOの奇妙な生活がはじまった。


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