NON

「あのー洗濯物畳みたいんですけど」

「名前、何でもするといったな?」

「えっ掘り返すんですか……殺す以外ならまぁ」

「キス、してもいいかい?」

「キスくらいならー……って、えぇ!?」

「手に」

「デスヨネー」


別に手くらいならいいか、と名前は手を差し出す。
吉良はその手に壊れものを扱うかのように優しく触れると、音を立てながら優しく優しくキスをした。
最初はじっと見ていた名前だったが、手の甲、掌、指先とひたすらキスをされ続けるうちに段々と恥ずかしくなってくる。


「あのっこれいつまで続けるんですかねっ」

「……ディアボロが帰ってくるまでかな」

「(ディアボロさんはやく!!!)」

「フフ……名前、どうしたんだい?顔が真っ赤だが……」

「見ないでくださいいい手だけ見てればいいじゃあないですか!!」

「君の反応がおもしろい」

「からかわないでくださいよ!!」


からかってるわけじゃあない、吉良がそう言おうとしたとき、玄関のドアがバタンと音を立てた。


「ただいま……なんだ、吉良帰っ……て……」

「あっディアボロさんっ!」

「……チッ」

「な、なな何やってんだおまっ」

ドッグォーーン


ディアボロの叫び声は爆発音にかき消された。


「ふぅ、スッキリした。これで安眠できる」

「そ、それはよかった……」

「名前……続きはまた今度にしよう」

「続きなんてないですよ!!」


気分も晴れたし会社に戻るとするかな、とどこまでも真面目なサラリーマンを装う吉良は家を出た。





***
このあとせっかく買ってきたゲームが一緒に爆破されたせいでもう一回買いに行くはめになるディアボロ


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