NON

うちの学校で空条承太郎を知らない人間は居ない。
その名前を聞くと誰もがあいつを思い浮かべ、うっとりしたり、恐怖に身を震わせたりするのだ。
私は前者であるのだけど、どうしてもうっとりする自分が許せず、何故かいつも承太郎に喧嘩を売ってしまう。
これでは、そこら辺のアホな不良共と一緒だ。


「承太郎ー!勝負!」

「またか…」


実は喧嘩、というのはリアルな喧嘩である。
こう見えても空手の有段者であり、高校女子にしてはかなりの腕前だと自負している。
承太郎にはいつも自分の腕前を試したい、とばかりに絡むのだが、実際は承太郎と接近したいだけ、などという乙女な思考を持っていることを承太郎は知らない。
というか、結構私も最近は本気で承太郎を倒しにかかっている。
しかし男女の力の差以前に、承太郎は強すぎた。
今日もすべての蹴りを止められ、肩で息をする私を見て承太郎が鼻で笑う。
ああ、ムカつく。でもなんてかっこいいんだ。


「今日も、負けか…」

「基本的に蹴りに重さがねぇな」

「う…いつか絶対一発入れてやるから!」


私はそれを捨て台詞として、ダッシュでそこを離れた。



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