NON

結果からいうと、スタンドで近づかないように書くのは失敗に終わった。
名前が、昨日を境に来なくなったからだ。
一週間が経った。
二週間が経った。
名前は来なかった。
これでやっと仕事に集中できる。
あいつに書き込めなかったのは少し残念だが、これでぼくはいつも通りの日常に戻り、いつも通り仕事に集中することができるのだ。
と、思ったのだが…。


「クソッ…全然集中できん…」


さっきからペンは止まったままだ。
ぼくとしたことが、漫画より他に気になることがあるということだ。
本当に迷惑な女だ。
どうせ机の前で唸っていても無駄なので、仕方なく家を出る。
別に急に来なくなった名前を心配してるわけではない。
漫画のネタになるものを探しに行くだけだ。
しかし、そうそう漫画のネタは見つからず、結局ぼくは自宅に戻った。


「…ん?」


家の前の電柱に、あれは隠れているのか分からないが…一人のストーカーが。
なんだよ、元気じゃないか…。
いや、別に心配はしてなかったがな。
しょうがないから声でもかけてやろうと名前に近づくが、名前はぼくに気づくとどこかへ走って行ってしまった。
せっかくぼくが声をかけてやったというのに!
それに、久しぶりに見た名前の顔は酷く悲しそうだった。
何でそんな顔をするんだ。
しばらく来なかったのは、君だろ。


「名前っ」

「ろ、露伴先生、何で追っかけて来るんですか!」

「じゃあ何で君は逃げるんだよ」


何で追っかけるのかなんて、ぼくの方が聞きたい。
気づいたら足が動いてて、君の腕を掴んでいたんだ。


「だって…」

「なんだよ…」

「…いいんです。露伴先生のことはやっぱり好きだけど、もう諦めたんです」

「はぁ?」


名前は涙目で鼻をすすりながらこんなことを言った。
諦めるだって?今日も元気に絶賛ストーカーしてたくせに、どの口が言うんだ。



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