NON

いい加減暇だな、君も。
いつまでも玄関の前に居座られたらたまらないので、声をかけてやる。
なんて優しいんだぼくは。


「露伴先生に会うためなら何時間だろうと待てます!」

「バカか。帰れよ」

「おじゃましまーす!」

「こら!勝手に入るな!」


ドアを急いで閉めると、靴の先を間に挟み込んできた。
どこで覚えたんだ、そんな押し売りみたいな技。
せっかくぼくが声をかけてやったのに、中にまで入ろうとするのか、このストーカーは。


「ぼくは仕事中なんだよ!」

「仕事中なのにわざわざ私のために出てきてくれたんですか!」

「あーくそったれ!ポジティブなのも大概にしておけよ!」


なんだこいつは、何故こんなに力が強いんだ!
ぼくも相当力を込めて引っ張っているのに、なかなかドアは閉まらない。
こっちは必死な形相にも関わらず、名前の顔は笑顔である。
今から康一くんが来るってのに、玄関の前に居座られては困るからドアを開けたにすぎない。


「露伴先生?どうしたんですか」

「やぁ康一くん。ちょっと待ってくれ、このアホを退かすから」

「アホってなんスか!」


アホ以外の何者でもない。
ぼくは名前を押しのけ、康一くんを中へ招き入れてから名前が入らないように急いでドアを閉めた。
名前はようやくあきらめるらしく、また明日来ます!と言って帰って行った。


「悪かったな、康一くん…」

「先生…由花子さんと一緒に買い物に行く約束してるんで、早くしてくださいね」

「あぁ、分かったよ」

「さっきの方、お友達ですか?先生にも居たんですね」

「いや、あいつはただのストーカーだよ。ぼくだって困ってるんだ。それより康一くん、友達居たんですねって、君はぼくの友達じゃなかったのかい…」


康一くんは結構ズバッと言うことがあるからドキドキする。
康一くんはアハハと笑ってごまかし(何でごまかすんだ!)話題を戻した。


「でも、露伴先生のスタンドなら、何とでもできますよね?」


そういえば。
何故今までそうしなかったのだろう。
明日また玄関で居座るつもりなら、「岸辺露伴に近づけない」とでも書いてやろうか。



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