NON

仕事が終わってアジトに戻ると、名前の様子がどこかおかしかった。
なにか考え込んでいるようだった。
二人で俺の家に帰り、就寝するまでそんな調子だった。


「名前、なんかあったのか?」

「んー……なんもない」

「そーかよ……一緒に寝るか」


そう言って掛け布団をめくる。
そうすればやだよ恥ずかしいだろ!といつもの調子に戻るかと思ったんだが、名前は少し考えて、うん、と言いもそもそと布団に潜り込んできた。
オイオイ!冗談、いや冗談じゃないが、あわよくば一緒に寝れたらいいとは思ったが、まさか本当に入ってくるとは思わないだろ。


「ホント危機感ないっつーか……」

「なにがだよ」

「い、いや……」


想像以上に距離が近い。これは割りとやばいかもしれない。がんばれ俺。
名前がこんな調子なので話す雰囲気でもなく、しばらく沈黙が続いた。
だいぶ俺の鼓動も落ち着いてきたころ、名前がミスタ、と俺の名前を呼ぶ。


「ん?」

「ずっと考えてたんだけどな、俺ミスタのこと好きかもしれない」

「……はぁ」


何を言い出すのかと思えば、そんなことを言って俺の目を覗き込む名前。
好き、と言われて一瞬ドキッとしたがこいつの好きは所謂"友人として"だということを俺は知っていた。
わかってるっつーの、と返事をしようとしたが、名前の目がやけに真剣で、俺はその言葉を飲み込む。


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