NON

ミスタは 忠犬名前を 手に入れた!
名前はとにかくひたすらミスタのそばにいた。
そりゃもう、四六時中、朝起きてから寝るまで飯食ってるときも任務のときも空き時間も、風呂やトイレにまでついて来たときは流石に「こいつ、つまりソッチ側か?」と疑いもしたが、どうやらほんとに俺の側にいたいただそれだけらしい。
俺は女の子が好きなの!と悲鳴をあげたら名前は「は?知ってるよ。俺も女の子好きー」などと言いへにゃりと笑った。
まぁとにかく、ホモではないらしい。


「だがな、さすがにこの年になって野郎二人で一緒に寝るのだけは勘弁してくれ……」

「むむむ……」

「なにがむむむだ」


名前は俺の家に住んでいた。
流石にいつまでもアジトで寝泊まりをさせるわけにはいかないので、ブチャラティが名前に部屋をとったのだが、名前は一度もその部屋で過ごすことはない。いや、部屋あるんならそっちで寝ろよ!
と何度も言うのだが、名前は頑なに俺の側から離れようとしない。まるで刷り込みされた雛である。
最初こそこんな図体でかいどう見ても男な名前に懐かれてうっとおしいことこのうえなかったが、最近は俺も結構手慣れて来た。


「はぁ……わかったよ、俺の部屋で寝るのは許す。だが一緒のベッドはダメだ」

「えー!!」

「えーじゃない!いくつだお前はッ」

「ミスタと同い年」


エヘヘと名前はにこにこする。何がそんなに嬉しいんだかわいくねーよ!
こいつは、やたらと俺とおそろいが嬉しいらしく……アァ、なんか悲しくなってきた。女の子なら大歓迎なのに。
俺はハァ、と名前に出会ってから増えたため息をついた。


「同い年のいい年した男同士が同じベッドで寝るとか、絵面的にヤバイからダメだ」

「別に誰も見てねーじゃん……」

「俺がやなの!!……ハァ、とにかく、新しいベッド買ってやるから」

「マジ!?わーい!!やったー!!ミスタありがとうー!」


名前は言い終わるのを聞かずにぴょんぴょんと跳ね回った。
俺もつくづく甘いとおもう。
まぁ、俺だってこんだけ懐かれて悪い気はしないのだ。さすがにプライベートが一切ないのはちょっと困るが……。
同い年だけど、弟っつーか後輩みたいなもんだし、損得感情なしでひたすら俺のこと慕ってくれるというのは(ちょっといきすぎてて怖いが)嬉しいものだ。
つまり俺はわりとこいつを気に入りはじめたのだ、不本意だがな。
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