NON

あれから数日。名前はアジトに住み着いていた。住むところが見つからないらしい。
チームの奴らはわりとすんなり受け入れたようで、こいつのそれは一種の才能かもしれない。
いつもニコニコとしていて、警戒心を解くのが上手いのだ。(勿論素性は調べ上げ、裏に何もないことは調査済みであり、つまりこいつは本当にただ俺のそばに居るためだけにここにいる。なんてこった。)
俺たちがギャングだと聞くと最初は驚いて見せたが、すぐにじゃあ俺もギャングになろうかなァなどとのたまい、俺はあぁ、こいつアホなのか、と思った。
そんな、簡単に、ギャングに、なれると、思ってんのか!!


「いいんじゃあないですか?面白そうだし」


なれるようだ。
ジョルノが君、今日からブチャラティチームね。とパッショーネのバッヂを渡す。
こいつ、楽しんでやがるな……。
名前はやったー!これでミスタと同僚だね!!などと満面の笑みで大喜びし、ぴょんぴょんと跳ね回った。オイ、でけー男がそんなに跳ね回るんじゃねぇよ。同い年だったはずだが、こいつは随分と精神年齢が低い。


「ところで名前さん、君はなにか特技のようなものはありますか?」

「特技?うーん……特技っていうか……特技かなぁ?」

「見せてもらっても?」


いいけど、びっくりしないでくれよ、と名前は……
オイオイ……これはいわゆる、その、


「…名前、お前スタンド使い、だったのか?」

「スタンド?ナニソレ?」

「お前の後ろのそれ!!スタンドだろどう見てもよォ〜」

「これスタンドっていうのか。昔からあるんだけど……ってミスタ見えるの!?」


スタンド使いは引かれ合う。そんな言葉が脳裏を掠めた。
俺たちも同じ能力持ってんだよ、とピストルズを発言させると「ミスタも同じ能力持ってるの!運命だ!!」などとまた気色悪いことを言い始める名前。


「それで、どんな能力なんですか?」

「うーん見てもらった方が早いとおもうんだけど……ジョルノ、ちょっと手かしてくれ」


ジョルノが手を差し出すと、名前はジョルノの手の甲を爪で引っ掻いた。
オイオイなにしてんだこいつは!と慌てるまえに名前が「プリティ・ヴェイカント」とスタンドを発動させる。
すると、ジョルノの手の甲にあった引っかき傷は跡形もなく消えていた。
つまり、傷を治す能力か?


「ちょっと違うかな。ホラ」

「……なるほど、他人の傷を自分の体に移動させる能力ですか」

「逆もできる」


名前が手の甲を返すと、そこにはさっきまでジョルノの手の甲にあった引っかき傷が名前の手の甲にあった。
しかし、便利っちゃ便利だが……。使いどころが難しい気がする。
こうして名前はチームの一員となり、さらに俺にベッタリになってしまったのだ。ジョルノ覚えてろよ。
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