NON

あれからジョルノに電話を入れて、もう一発ずつ足にブチこんで、日本人をアジトに連れ帰った。
さすがに両足撃ち抜かれてりゃ逃げれないだろう。それに八発になるしな。四発じゃない。
アジトにはブチャラティが居て、背におぶっている血だらけの男を見ると少し驚いたが、すぐに手当てを始めた。
今は落ち着いてアジトの仮眠室で寝ている。


「苗字名前、年はミスタと同じ、日本人で身寄りはなく、イタリアには観光できているようだ」


ブチャラティが男の鞄を漁り、身分を調べる。
勝手に荷物の中身を見るのはどうかと思うが……まぁ助けてやったんだ。多めにみるべきだな。
彼には悪いが起きたらすぐにこの街から出て行ってもらおう、とブチャラティは少し気の毒そうな顔をして言った。
今、この街にはいない方がいい。ましてや危機感のない日本人だ。またこういうことに巻き込まれるに違いない。それが彼のためなのだ、と。
まぁ反対する理由も特にないので、そうだな、と適当に返事をしておいた。
ぶっちゃけ怪我して、なおかつ気を失いやがったから連れてきただけであって、目を覚ましたらそいつがどーなろうが興味ないっつーか……カワイイ女の子ならまだしも男だし。
しばらくすると、仮眠室のドアがあいて、キョロキョロしながら男が出てきた。目を覚ましたようだ。


「目を覚ましたか。面倒なことに巻き込まれてしまったようで……君を襲った奴らは捕まえたから、安心するといい」

「あのぉ……ここは……」

「君が気絶したんで、彼がここに連れてきたんだ。勝手なことを言うようだが君は日本人のようだし、すぐにこの街から去ったほうが…」


ブチャラティが、言葉を続けるが男は俺を凝視したまま動かない。
オイオイ、なんだなんなんだ。男に見つめられる趣味はねーぞ。


「……名前」

「あ?」

「名前、教えてくれ」

「は?俺?ミスタだけど……」


ミスタ!!!と男はガバッと俺の手を掴み、キラキラした目で「ミスタ、助けてくれてありがとうございます、命の恩人だ。俺の命はミスタのものだ」などと訳のわからないことを言い始めた。
やばい。すごーーく面倒なことになっている気がする。


「えーと……名前、といったか?君、すぐにこの街から……」

「無理です」

「オイオイ無理ってなんだよ……別にここに住んでるわけじゃあねーだろオメー」

「ここに住みます。ずっと住み着くところを探してたんです。ここに決めます。ミスタの居るこの街に」


なんだこいつヤバイ奴か、と身を引くが、握られた手がそれを許してくれない。
ブチャラティは眉間を揉みながら、ハァ……とため息を吐いた。
あっ、諦めた!!いまブチャラティは考えるのを放棄した!!


「おいふざけんなよ俺はそんな趣味ねーよ!!ブチャラティ助けて!!」

「趣味?よくわからないけど俺ミスタのためなら何でもするよ!だから側に居させてくれ、お願いします!」

「勘弁してくれよ…オイ!ブチャラティ!!」

「俺を巻き込むな」


関わりたくない、とばかりにブチャラティは仕事に戻り、ニコニコととても嬉しそうな男は俺の横に座った。
あぁ、やはり4が絡むとろくなことにならない。
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