NON


ムキになるほど怪しいのだが、ミスタは一応経験はあったのでしっかり否定はしておいた。
経験といってもその辺でナンパした女性と一夜限りな場合が多かったので、恋人という恋人はできたことがない。
なのでミスタもイマイチ勝手がわからず、先に進めないでいた。そもそも男同士は始めてだし、男を相手にそんなことを悩むだなんて思ってもみなかった。


「で?やるとしたらどっちが上なんだよ」

「もーいいだろォ……なんでそんなに気になるんだよッ」

「いや、別にそこまで興味あるわけじゃねぇが面白そうだからな」


アバッキオがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべている。
いつもクールぶってるくせに、妙なところで子供っぽいこの男はよっぽど暇なのだろう。
いまいち良くわかってない名前は話に入れないのが嫌なのか、上ってなんなんだよ?と隣に座っていたジョルノに聞いた。


「どっちがタチなのか、という意味ですよ。攻めとも言います。つまり、ミスタと名前はセックスするときどちらが男形をするのですか?」

「ジョ、ジョルノッ!」

「別にいいじゃあないですか……名前も子供じゃあないんですから」


と、自分よりいくつか年下のジョルノに言われてミスタは何も言えなくなった。
確かにミスタも男であるから、性欲もあるし好きな人を抱きたい。
だが名前は今まであまり人と関わってこなかったと聞いたから、まだそういうことをしたことがないと知っていたし、そもそも男同士なのでどうやってそういうコトに持ち込むかミスタにはわからなかった。
思い入れのない女ならホテルに連れ込んでベッドに入ればそのまま流れに任せるだけで楽なのに、とミスタは思っていたが、そのもどかしい感じも楽しんでいたのでしばらくこのまま温い関係でも満足していた。
ジョルノに話の内容を説明されて名前はようやく内容を理解できたらしい。ブチャラティはすでに話の内容に興味がなくなったのか、部屋を出て行った。
ミスタはとても居辛い気分になったが、当の本人はあっけらかんとしてミスタに言った。


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