NON


「…お前が超鈍感マヌケ野郎だということを忘れてたぜ…俺が悪かった、よし、ならハッキリ言ってやる」


俺は息をゆっくり吸うと、諭すように名前の肩に手をかけて話し始める。


「名前、お前のことが好きなんだよ、好きだから死んで欲しくねーし傷一つついてほしくねーんだ」

「俺もミスタ好きだよ!」

「あーそれは知ってる何度も聞いた…だが俺の好きとお前の好きは違う、わかるか?」


ここまで言っても名前はきょとんとした顔を俺に向けている。
あーちきしょうかわいいとか思ってしまう俺はだいぶイカれちまってるらしい。
この際ハッキリ言ってやる。


「お前のことが、恋愛感情で好きなんだ。アホなお前にもわかるようにいうと、キスしたりセックスしたりしたいってことだよ!!」

「…セッ…!?」

「さすがにここまで言ってわからねーぐらいアホじゃあねぇよなァ?」


ハッキリ言いすぎだが、名前はこのぐらい言わなきゃわからない。
路地裏の暗闇でもわかりやすいほど真っ赤になった名前に詰め寄る。
名前はうーん、と少し考えて、ミスタって、ホモだったの?なんてぬかしやがった。


「ホモじゃねーよ!!!男なんかに惚れたのはお前が初めてだっつーの!!っあー怒ったらフラフラしてきた…とりあえず帰るぞ…報告もせにゃならんし…」

「ミスタ…俺…」

「あー今はあんま考えんな。俺はもう吹っ切れたから、あとはお前次第ってことだ」


今はまだ、答えを聞く勇気はない。
情けねーよ、女が相手なら振られようがビンタされようが押して押して押しまくれるのに。
参ったことに本気らしい。
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