NON

静かに仮眠室のドアを開けると、布団に横になっている名前が見えた。
体力はあるようだったが、知らない土地で俺についてずっと働きづめだったので、疲れているようだった。
こいつは日本人で、抗争なんて全く知らない土地からきたのにいきなりギャングだ。そりゃ疲れるわなぁ。
ブチャラティも俺も無理せず休むように度々言っていたのだが、こいつはどうあっても俺の側から離れるなんてことはしたくないらしく、ずっと俺のあとについてきていた。


「……あ、ミスタ」

「寝てろ。体調悪いんだろ」

「ミスタ心配してきてくれたの?」


その言葉にぐっと詰まる。
名前は目をキラキラさせてすごく嬉しい!!というような顔で俺を見つめるもんだから、心配なんてしねーよ、などとは言えなかった。
そーかもな、と返すと名前は体調悪いだろうに、へにゃりと笑い嬉しそうに笑った。
あぁ、俺もだいぶこいつに振り回されてんな……。
トイレから戻った後、名前が隣に居なくてやたら横がスースーして落ち着かなかっただなんて絶対に言えないが。


「今日は一日寝てろよ、任務ねーし」

「……少し寝たらなおる」

「お前なぁ〜……俺も今日は任務ないし、居てやるから寝てろ」


きっと俺が任務にいくとなると、意地でもついてくるのだ名前は。
幸い今日はオフだし(オフでもアジトに来ちまうのは、職業病というやつだ)、名前の横で静かに過ごすのも悪くはない。
あーあ、前までなら、こんな日は女の子でも引っかけに行ってたのにな。
隣にいるのは同い年の、どう見ても同性だ。悲しい。
俺が隣に居座るのを見て安心したのか名前は、嬉しそうに笑って寝息を立てはじめた。
ここまで慕われてんのに、邪険にできるか?
こいつは俺が側にいないと落ち着かないらしい。
だが俺は薄々と気づいていた。
俺もこいつが居ないと、ちょっと落ち着かない。不本意だがな。
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