悲鳴を上げて慌てて飛び起きた自分に驚いた。布団の上で大量の汗をかき体内に酸素を取り入れるべく深呼吸を繰り返す。なんだか怖い夢を見た気がする。高校生にもなって怖い夢見て怯えるとは思わなかった。時刻を確認すると深夜の二時で起きる時間ではない。だがもう一度寝ようにも寝つけなくて、タオルを出して汗を拭き仕方なく気分転換にと一階に足を運んだ。電気をつけてからソファに足を抱えて座る。いつもは賑やかな共同スペースが静かなのは逆に落ちつかないな。


「何してんだ」
「っお……爆豪」


び……っくりした……敵だったらやられていた。いつの間に背後にいたのか、爆豪はソファで丸まって座る私を怪訝な顔で見つめている。何してんだって私の台詞でもあるのだけれど。


「爆豪こそ……何してるの」
「寝れなかったから来ただけだ。悪いんか」
「悪くない」
「……で」
「色々あって寝つけなくて気分転換しにここに来た」


そう答えたらどうでもいいと言われた。じゃあどうして聞いたんだろう……爆豪はよくわからない。じっとしていた爆豪だったが突然ボスンとソファが大きく沈むくらいの勢いをつけて隣に座ってきた。


「……寝れそうかよ」
「? どうだろう。寝てみないと何とも」
「チッ」
「爆豪と話せば眠くなるかもしれないけど眠れそうなら寝ていいよ」
「はっ余裕だわむしろ冴えてる」
「……ありがとう」
「テメェのためじゃねえよ勘違いすんな」
「うん」


しかし困った……話題がない。いざ話そうとなると意外とないものだ。


「……?」


話題話題……と思考を巡らせていると頭を横にぐいっと傾けられて寝転がる形となった。硬いと思ったら爆豪の膝の上で言葉が出ない。やっと出た言葉は「熱でもあるの」だった。たくさん舌打ちされた。


「話さねえなら寝ろ」
「……ん」


爆豪の服に顔を埋めたらいい匂いがした。柔軟剤とか同じの使ってるはずなのにどうしていい匂いがするんだろう。心地よい香りに包まれていたらいつの間にか眠っていて、いい夢が見られたんだと思う。少なくとも悪夢は見なかった。


「……顔青白くして、無理して笑ってんじゃねえよクソが……」


眠る前の爆豪の呟きは聞こえなかった。






「二人ともお熱いわね」
「つ、梅雨ちゃん悪いよ。それにしてもなまえちゃんぐっすりやね……」
「爆豪オイラと代わってほしい……」
「見てんじゃねえモブ共ッ!!」


付き合ってなどいない。


神さまのお通り



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