めでたいとは一言も言ってない








月が頭の真上に登った頃。


会ってやっても良いかもしれないと思ったタイミングでそいつは現れた。





「何してんだテメー。不法侵入未遂で逮捕すんぞ」



「やべっ!見つかっちゃったアル!」





塀の上でじたばたした後、見慣れたチャイナ娘はバランスを崩し派手な音を立てて屯所内へ転がり落ちた。





「そんなデカイ音立てたら他の隊士のヤロー共が起きちまうだろーが」





だからこっち来いよ。

…なーんてキザな台詞が言えるはずもなく、いつだって喧嘩腰の彼女が言わせてくれるわけもなく。





「何だとクソガキ!私がこっそり万事屋抜け出すのにどれだけ苦労したと思ってるネ!銀ちゃん過保護だから、私が居ないことに気付いたらきっと血眼になってかぶき町を走り回るアル!」





おいおい。よりによって日付が変わる時間ピッタリに此処に来ておいて、俺の名前より先に旦那の名前を口にするんでィ。

ま、アイツに名前なんで呼んでもらったことなんてねーけどな。





「ていうかテメー。こんな時間に何してやがんだ?返答によっちゃ未成年の深夜徘徊として補導することになるぜィ」



「ムフフ。そんなこと言って良いアルかぁ〜〜〜?」





ニヤニヤと意味深に笑うチャイナに腹が立つと共に、どこか少し期待してしまっている自分の存在に気付く。

今日は文月の八日。
チャイナにつられたとは死んでも認めたくねーが、にやけそうになる頬を必死で堪える。





「一人で寂しく誕生日を迎えたお前を嘲笑いに来てやったネ!」



「そうかィ、でも残念。俺ァこれっぽっちも寂しくなんかねーぜ」





チャイナが、俺の誕生日を知っているなんて思いもしなかったから。


神楽が、俺に会いに来るなんて思いもしなかったから。





「…朝まで帰す気ねーけど、旦那への言い訳は自分でどうにかしろよ」



「へ、ヘルス!ヘルスミー!!!!!」



「ヘスプミーな、ってツッコんでくれる奴は此処には居ねーぜ?覚悟しなせェ」







happy birthday to Sogo Okita !
( 2016 7 8 )



end.


沖田くん誕生日おめでとー!


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