最初は優雨を含めて。

それがいつの間にか二人で会う機会が増えて。

自覚をしたのは、どっちが先だったのかな。

好きだよ、って、先に口にしたのがどっちだったか。



――螢は、覚えてる?










一 「天倉家」










螢と私が、いわゆる恋人関係になるまでにはそう時間はかからなかった。

それこそ、もしかしたらお互いに一目惚れだったんじゃないかと思うくらい。

自然に……本当に自然に、寄り添うことがまるで当たり前のようで。

運命なんてものが本当にあるのかはわからないけど、でも、螢に会えてこうして惹かれたことは偶然なんかじゃなくて必然だったんだって、今は思う。

……なんて、乙女チック過ぎだね、私。

我ながら似合わないななんて思いながら、それでも幸せから緩む頬は抑えきれずに今日も螢の家へと向かっていた。


「こんにちはー」
「あ、若菜さん! こんにちは!」


呼び鈴を鳴らした私を玄関を開けて出迎えてくれたのは螢の姪。

彼の姪、実は双子の可愛い女の子たちだったりする。

今私を出迎えてくれたのは、妹の澪ちゃんの方。

双子だからか顔は良く似ているけど、澪ちゃんは元気で活発な女の子。

対して姉の繭ちゃんは控えめな大人しい女の子だ。

最初は螢が「おじさん」なんて呼ばれていることに驚いたけど、でも、螢は二人を凄く可愛がっているし、二人も螢に凄く懐いているみたいだからそんな驚愕はすぐに消え去った。

だって本当、家族って感じが凄く伝わるほど三人の間には暖かい空気が満ちているから。

何度か螢の家で一緒になることがあって、今では私にも二人が懐いてくれていることが嬉しい。

可愛い妹ができたみたいで、私も二人が大好きだ。


「若菜さん、いいところに来てくれた! ねえねえ、ちょっと来てもらっていい?」
「あ、ちょ、澪ちゃん!?」


助かった、とばかりの笑みを零し、澪ちゃんは私の手をぐいぐいと引っ張る。

何が何だかわからない私は、ただ戸惑いながら引かれるままに彼女に続いた。

慣れた廊下を進み、入った一室は居間で。


「若菜さん!」
「若菜」
「お邪魔します、螢、繭ちゃん」


そこにいた繭ちゃんと螢に同時に声をかけられ、軽く会釈して応えるものの。

てっきりここが目的地だと思っていた私の考えは外れて、澪ちゃんはこっちこっちと更に奥へと私を導く。







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