プロローグ
ああ、なんだ。
何でもありなのか?
夢かもしれない、夢なんかじゃない。
赦されて、罰された。
代償を支払い、世界から追放された。
この手に、残されたものは……。
――あたしのすべて。
《廻る、廻る》
「行かれますか?」
顔を上げたその瞬間、かかる声。妙に高く胡散臭いその声音に、つと目を細める。
視界は、青かった。
「お世話になりました、は、まだ早いね。あたしはまだまだキミ達の世話にならなきゃいけないヒヨっ子だ」
「ええ。ですが、初めてお会いした時とは見違えるようですわ。……先が楽しみです」
返ってきた落ち着いた雰囲気の女性からの答えには色々ツッコミどころがあるけれど。それをする勇気は生憎持ち合わせてはいないんだ。
前を見据えて深呼吸を一つ。背筋を伸ばせばほら、見えそう。
「あたしはまた、動き出す。それがあたしが得た、あたしのすべてだから」
さあ、行こうか。
世界からの追放者が、それでも望む、未来のために。
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