行きたくない。
いや、ここから出さないで。
やめて、私はいきたくなんかない。
どうして、どうして私なの。
私じゃないといけないの。
どうして…………どうして。
抵抗するように踏ん張る足を引き摺られ。
暴れようと振り回す腕も押さえつけられて。
この牢獄のような部屋から引っ張り出される。
連れて行かれる先も、そこで何をされるのかもわかっていた。
酒に酔ったあの男が、手を上げながら口を滑らせたから。
何も知らない、教えられなかった私を見下して、嘲るように嗤いながら指差して言ったの。
――お前は死ぬために生まれたんだ、って。
嫌よ、嫌。
そんなの、そんなのってない。
私は……私は、死ぬために生きてきたんじゃないのに。
どうして、どうして私なの。
私だけがこんな目に遭うの。
私だけが……。
ワタシ……。
――ニガサナイ。
そう、逃がしたり、しないわ。
誰も、だれひとり。
狂えばいい、狂ってしまえばいい。
こんな村、死に呪われてしまえばいいんだわ。
そう、みんな……。
――ミンナ、シンジャエバイイ。
ねえ、だって不公平でしょう?
――アナタダケ、シアワセニナルナンテ、ユルサナイ。
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