夢の中のあの屋敷で。
零華さん達をはたてへと送ったあの時。
大勢のひとたちと一緒に彼岸へと向かっていた男のひとがひとり、私へと言葉を向けた。
――何故、お前がここにいる。お前のせいで水治村は滅んだのだ!
聞き覚えのない村の名前。
だけどそれが私と兄が生まれた村の名前なのだと。
……何となく、わかって。
だからこそ、私のせいだというその言葉が気にかかった。
序幕 「終わりへの始まり」
図書館でたくさん本を借りて。
知ることができた
水治村とは。
山奥にある、大きな湖に面した崖の上にある、小さな小さな村で。
そこには……青い髪と目を持つ化け物が存在していた……らしい。
その村では
水神様が祀られていて、村への加護を得るためと、村に降りかかる災厄を除くために、その化け物を生贄として捧げていたのだと書かれていた。
ただ、その村は真壁さんたちのような学者さんたちも入れることはなかったようで、詳細はほとんど謎らしく。
災厄が溢れ返り滅びてしまったという結果しか残されていなかった。
生贄がどういうものかも、何故災厄が溢れてしまったのかも、不明。
でもきっと……それには私が関係している。
だって……。
私も、青い髪と目を持つ存在……だから。
……私は、水治村に行かないといけない。
たぶんそこに、私のやるべきことがあるはずだから。
だから、私は……。
序幕・了
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