父の文

《入手:第八幕。御導家。弥生》


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睡蓮を救うため、塔へと向かふことにする。

おそらく村の者達による妨害は凄まじいものだろう。

……睡蓮が私の身を案じてくれていることは知つている。しかし、私もまた、睡蓮の幸を願つているのだ。

彼女の存在せぬ世界に、如何程の価値があろうか。



心残りはやはり我が子等のこと。弥生と茨羅にはこのやうな思いを味わうことなく幸せに生きて欲しいと切に願う。



どうか、どうか、我が愛しき子等がこれを読むことのなきやう。

願いながらも、もしもこれを読む日が訪れてしまつた時のため、巴多への鍵を墓地の祠へと隠した旨を残す。

睡蓮を救うために必要になると思い奪つておいたものだ。

もしもこれを読む日が訪れてしまつたなら、おそらく必要になることだろう。



私は睡蓮が巴多に移るまで気を抑えることができぬやうだ。

無事に戻つたその時には、この文は捨てることにする。





どうか、我が子等がこれを読まぬことを再度願つて。









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