出会い


「……その最悪の事態の可能性の方こそが、かなり高い確率を誇ってるってのが納得いかねえが……」




きっと、あいつはできない。



そして、できない上で、優しいから。



「アレ」は起こってしまうのだろう。




「止める、つもりだがな」


そんな儀式、止めてやりたい。

そう思い、止められるのだと信じてはいる。



だが、こればかりはさすがに楽観視などできない。



弥生は沈む気持ちを吐き出すかのように一度大きく溜息を吐いた。

そしてそんな重苦しく纏わりついてくる空気を払拭するかのように、小さく首を振る。

そうしてでも、腹の底に燻る苛立ちにも似た重みは消え去ってくれなかったが。

辟易しつつもいつまでもここにいても仕方がないと判断し、とりあえず歩みを再開させることにした。

その時を見計らったかのように、突然背後から声がかけられる。


「……その袋……。まさかそんなモノが、ありえるのか…?」


呆然とした声。

独り言のように呟かれた言葉に振り向けば、そこにいたのは……。





一人の、青年だった。










第一夜・了


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