ゴ
「ふーん。射影機、ねぇ?」
俺は村にやってきた客人、真壁のおっさんが持っていた箱型のそれを借り。
興味深く、眺めていた。
ゴ・シャエイキ
何をすることも、何ができることもなく。
ただ時間だけが無情に流れ。
祭は、近付き。
……選ばれた双子御子は、立花家の双子である樹月と睦月……だった。
もちろんそんなことは絶対に納得できねえし、そんな儀式なんかあいつらにさせたくだってない。
――……茨羅を、これ以上泣かせたくなんかねえしな。
そんな状況の中でこの村を訪れた、何とも間の悪い人物。
それが真壁のおっさんと、宗方とかいう男。
この二人を招き入れたのは、当然というべきか黒澤家の当主で。
俺としてみれば、二人共男だしどうでもいいかと思っていたんだが。
茨羅が凄く心配していたから、素知らぬ振りを通すというわけにもいかないだろう。
……守りたいものばかりが増えると、足元すくわれちまいそうな気がするんだがな。
まぁそれにしても、だ。
真壁のおっさんが持っていた、あの射影機とかいうヤツ……。
アレ、いいな。
何か俺の刀よりも効率良さそうだし。
まあ俺はぶった斬る方が性に合っているから刀でいいんだが、茨羅の護身用にはなりそうだ。
……使わないで済むに越したことはないんだが……。
何かあった時を考えれば、持っていた方がいいだろう。
……ちょっと宗方でも脅して、何とか手に入れさせてみるか。
さて、そうと決まれば早速実行して……。
その後、祭の情報収集と茨羅を逃がすための場所を探すために……。
未来にでも行ってみるか。
ゴ・了
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