必ず
「弥生っっ!」
私は丁度、あの梯子を上りきろうとしたところで、白い着物を着た少女……幼い頃の霧絵の霊に、助けられました。
……でも。
「弥生……」
私は、確かに梯子の下から迫ってくる霧絵の姿を視ていて……。
それは、つまり……。
「必ず、追い付くと……言ったのに……っ!」
大丈夫だと、言ったのに……っ!
「弥生、私はまだ、あなたに何も伝えていない……っ! 何も、言っていないのに……っ!」
――弥生……っ。
どうして、どうして。
私ひとりで助かっても意味なんてないのに。
あなたがいてくれないと。
あなたが、傍にいてくれないと……私は……。
……弥生。
今の私には、固く目を閉じただ俯いて、溢れ出ようとする涙を堪えることしか、できなかった……。
第十三夜・了
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