いらっしゃいませ
100307 00:44

「いらっしゃいませ〜何名様で…」
「「「「あ」」」」
「あ゛」
「うっそ、三郎じゃん!」
「…人違いですよ」
「嘘つけ!!!」









鉢屋は苛立っていた。その苛立ちの理由は…

「お兄さ〜んお水〜」
「はいはい少々お待ちくださ〜い」
「おいおい、態度悪いぞ〜俺らはお客様なのに」

こいつらにバレたこと。
三郎は友人がバイト先に来られるのを恐れて、仲のよい竹谷たちに一切バイト先のことを話していなかった。もちろん雷蔵にも。冷やかされるのが嫌だったのだ。けれど、三郎はバイト先がバレないだろうと腹を括っていたのだ。だってここはイタリアンバイキングの店。女子高生や女子大生でごった返して野郎は入りづらい店だからだ。

「お前らよく来たな…ここ、野郎だけで来るとか…ある意味勇者だよ」
「俺らだってイタ飯食いたくなるよな?なぁ、勘右」
「ああ、はっちゃん、ピザ食べようピザ!」
「にしても…三郎ダブリエ似合うな」

兵助が三郎のダブリエ姿を見て呟く。雷蔵もそれに頷いたのを見て、三郎は一気に笑顔になる。


「だーろー?俺さ、ホールに立つと女性のお客さんが呼び止めてよく注文してくれるんだよ。だから辞めさせてくれなくてさ〜」

三郎は得意げにそう言った。

「三郎はさ…」
「ん?どした雷蔵」
「…女の子にモテて嬉しいんだな、って…思って…」
「ら…雷蔵ぉぉ!!!!」

たまらなくなって三郎は雷蔵を抱き締めると、三郎はすぐに厨房に引き戻され、店長に叱られたらしい。仕事をしろ、と。

それから、四人はことあるごとに三郎を呼び止め、時間目一杯食べた。料理はなかなかだったので、会計時にまた来ると告げると、三郎はあからさまに嫌そうな顔をしたため、また店長に叱られていたのであった。

「マジお前ら空気嫁」
「「「「また来る」」」」
「ふざけん…またのご来店をお待ちしております(棒読み)」






まえ つぎ



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