これだよこれ、こういう癒しが俺たちには必要なんだよ
100307 00:37



「お?」
「何何、どーしたんだよ?」
「また木下の講義、休講だってよ!」
「「「やったー!!」」」






突如休講になった講義。こういう予告もなしに休講になるから、あの教授はあまりみんな好きではなかった。まぁ、休講が多い面では人気がある。だからこの講義は割りと人気だ。
しかし…

「どこ行くー?」

今は昼休みが終わって、3限目が始まろうという時間。このまま帰ってもいいが…人生そうは上手くいかないもので…4限があるのだ。微妙に空いた一コマをどう過ごすか考えていた。

「ん〜カラオケとかもな〜微妙だしな」
「えー行かねぇのかよ!」

兵助の意見に竹谷は割と乗り気である。そんな竹谷を見て兵助が、

「じゃあ、カラ「やだ」

兵助の言葉を遮ったのは、

「なんでだよ三郎!」
「一時間やそこらじゃ駄目だ!俺は二時間過ぎてからテンションと共に喉が開き出すからな!」
「「はぁぁ?」」

三郎の言うことは冗談めいているが、どうやら本気らしい。

「訳分かんないけど、三郎の言うことも一理あるよ。カラオケ行くなら、今度がっつり行こ?」
「じゃあ何す…うわぁあぁ!!」




竹谷が一目散に駆け出した。三人は訳も分からないまま、とりあえず竹谷に着いて行った。


「すげぇ…」
「か…」
「「「「可愛い…」」」」


竹谷が見つけたのは、猫だった。まだ子猫らしく、三毛猫と黒猫とぶちの3匹がペロペロと毛繕いをしていた。


「やばい可愛い…」

生物学科の本気か、自然とその猫に触れると、最初は怯えていた黒猫も、すぐに竹谷に懐いた。お腹を撫でてやると、気持ちよさそうに鳴いた。その光景に自然とほっこりとする。撫でてくれたお礼とばかりに、その黒猫は竹谷の唇をペロリと舐めた。

「…なっ!」
「…おまっ…くすぐったいだろ〜」

少なからず久々知は震えていた。

(はっちゃんの唇を奪った…!あいつ絶対オスだ!!)

なぜ竹谷の唇を奪ったらオス猫と断定出来るのか、という疑問は今の久々知には通用しない。
猫に対して、勝手に対抗意識を向けていると、突然その黒猫が竹谷から離れ、久々知のもとへ駆け寄った。

(…え、お前…まさか仲直りを…?)

ここでなぜ喧嘩にも発展していない、ましてや猫に対して仲直り…と使った久々知にはあまり深く考えないでいただきたい。恋は盲目、という奴だ。たぶん。



「可愛いだろ?兵助!」
「ああ、良く見るとコイツ、案外…」
「ニャァァァァッ!!」
「ぎゃああああぁ!!!」

仲直り…決裂!!
黒猫の爪で久々知の顔に赤い傷が走った。

「こいつぅぅぅ!コロス!!」
「駄目だ!生物に対してそれは絶対だめだ!兵助がそんなことを言うなんて…俺、ちょっと兵助のこと、見損なった…!」
「…え」


ちょっと…待って?


「三郎、雷蔵なんとか…ってお前らぁぁぁあ!!」


二人はといえば…可愛い子猫にご執心らしく、じゃれている。中でも三郎は三毛猫にご執心らしい。


「いや…はっちゃん…違…」
「何が違うんだよ」
「う…ごめん…」


その瞬間、その猫が竹谷の胸に飛び込み、竹谷の胸元を噛んだ。


「ひっ…あっ!…もーびっくりするじゃんか〜」
「………っ、」

口をパクパクさせていると、その猫は久々知を見て、にやりと笑った。

「…!!!!お前やっぱりシメる…!!」
「兵助!!お前いい加減にしろよ!」



その後、久々知はこっぴどく竹谷に説教された。




(まさか猫に嫉妬したとか…そんなこと、絶対言えない………)


まえ つぎ



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