「ホラーとAV借りてきたからみようぜ!」

唐突にそう言い放ったのは、帰ってきたばかりのおそ松だった。私たちにかざしたのは、当然ホラーの方。
私たちはそれぞれ居間で好きなことをやっていたが、おそ松に注目する。

「いいんじゃない?」
「僕もいいけど」
「ホラー?!ビックリ系!?」
「えー…」

意外とみんなノリ気だ。私は正直、ちょっと遠慮したい。だがそんな私を目ざとく見つけたおそ松に「あれ、もしかしてお前怖い?」なんて言われてしまえば見るしかない。

左から一松、カラ松、トド松、おそ松、チョロ松、十四松の順で並んだ六つ子を見て、どこに挟まるのが最も安全か考える。

「ここ入れて」
「え、いいけど」
「やったー俺のとなり?!」

私が選んだのはチョロ松と十四松の間。
チョロ松は無害だし、十四松は年下には優しいのだ。
私がチョロ松と十四松の間に座ると、不満げな視線が複数送られてきた。

「なんで俺の隣じゃないの!」
「いや、おそ松の隣だけは絶対ないから」
「なんで!?俺なんにもしないよ!」
「いやおそ松兄さんはないわ」
「僕も正直ちょっとやだもん」
「絶対おどかしに来るじゃん」
「ひどくない?お兄ちゃん泣いちゃうよ?」
「でもさー無害なのがいいなら僕とカラ松兄さんの間でもいいんじゃない?」

そう言ったのはトド松だ。

「だってトド松はともかくカラ松は私以上にビビりじゃん。二人とも頼りにならない」
「ちぇー」
「俺はビビってなど」
「あと一松とカラ松の間って、もうその事実が怖い。映画よりも」
「え、」
「確かに」
「じゃあ俺のカラ松の反対に座れば」
「誰かに挟まれてないとやだ」
「…」
「ほら、もう見よう」

黙り込む一松、傷心のカラ松、むくれているトド松、納得いかないと騒ぐおそ松をなんとかなだめて再生ボタンを押した。
チョロ松にぴったりくっついて、十四松の袖を握りしめていると、十四松が反対の手で頭を撫でてくれた。チョロ松はまったく映画の内容が頭に入ってないような顔をしているけど、知るか。

もめにもめたにもかかわらず最終的には全員で団子になっているのだから始末に負えない。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -