「っはーー」

十四松は大きく息を吐くと、ゴロンと私の隣に寝転がった。二人で暫く何もない天井を見つめる。これから目の前に現れるであろう様々な問題から目を逸らしたい。何もかもめんどくさい。指一本動かしたくない。でも服を着ないとおなかが冷えてしまう。そんなしょうもないことをだらだらと考えていると、乱れていた息が整ってきた。隣の十四松は息一つ乱さずただ天井を見ていただけだったけど、視線を天井から十四松に移すと、ぱかっと口を開いた。

「なまえ、ちゃん」
「ん」
「…お疲れさまデス」

私はひとつ瞬きをした。十四松が照れている。私ががばっと起き上がって十四松の顔の横に手をついて身を乗り出すと、十四松はめずらしくぎょっとした顔をした。ぎょっとしたけど、すぐにいつもの顔に戻ってぼさぼさになっているであろう私の髪を優しく手で梳いた。

「おれ優しかった?」
「優しかったよ、比較対象がいないけど」
「んじゃあ、いやじゃなかった?」
「…うん、」
「じゃあさ、またしよ」

最後の言葉でぐっと声を潜めた。やっぱり、十四松は照れてる。私が「それ、告白のつもり?」と尋ねると、ニッと笑って「そうだよ」と言った。
「よくわかったね、なまえ」
「わかるよ、両想いだもん」

私は十四松を見下ろす体制のまま、頭を下げておでこにキスをした。唇をくっつけている間に、十四松の携帯が鳴る。持ち歩いてたのか。

「トド松だ」
「見なくてもわかるの?」
「俺に電話すんの、トド松だけだし。出ていい?」
「うん」

私はぼーっと十四松の手が携帯を手繰り寄せ、通話ボタンを押し、それを耳に当てる様を見ていた。受話器越しになんとなくトド松の声っぽい音が聞こえる。今なにしてる?とか、多分そんなん。
「なまえとセックスしてた。今おわったとこー」
私とトド松が吹きだしたのは多分同時だった。
「えっ…あっ、え、そうなの?…いや、そうなの?十四松兄さんとなまえちゃんてそういうのだったの?そういう…いや、いいんだけど…兄弟のそういうのリアルタイムで聞きたくなかったよ…」
私はトド松の狼狽えようを受話器越しに聞いて、穴があったら入りたい気持ちになった。次からそういうのは内緒にしようね、十四松。でも、十四松と付き合うって多分こういうことだ。慣れよう。ある程度は開き直ろう。
さっきまで考えたこともなかった十四松との恋愛だけど、なんだかうまくいく気がしてきた。トド松の電話を切る際の最後の言葉が「ともあれ兄さん、童貞卒業おめでとう」だったのは正直どうかと思うけど。

「これからどうしよっか」
「とりあえずおそ松殴りに行かなきゃ」
「あはは、なんで?」
「十四松くんとお付き合いすることになりました。これからよろしくお願いしますって言いに行くの」
「それで殴んの?おもしれー」


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -