みあわす


「じゃあ、少し早いけど晩御飯作るね」
「!」
「ごはん…」

ごはん、という単語に加州と五虎退は顔を見合わせた。そうか、この子たちは食事をしたこともないんだ。初めての食事が、決して料理上手とは言えない私の手料理というのもなんだか可哀想な話だ。今本丸にあるもので作れるのは、ごはんに豆腐のお味噌汁。ほうれん草のお浸しに、鯵の開きを焼いたのくらいだ。つけものと納豆は、明日の朝ごはんにとっておこう。
冷蔵庫を開けて考え込む私の斜め後ろから覗き込んでくる二人は目をキラキラさせて、何やら楽しそうに話している。ごはん食べるの初めてです、どんな感じだろーね。そんな声を聞いていると、少しでも食事を楽しんでほしいと思うのは、当然のことだった。

「こんのすけ、ここに七輪はありますか?」
「蔵にしまってあるはずですよ、炭と薪も一緒に」
「そっか。ありがとう」

炭で火をおこすとなると、結構時間がかかるなあ。でもいいか。せっかくの初めての食事だから。喜んであとをついてくる二人とともに、埃っぽくて重い蔵の戸を開けて、七輪と炭を引っ張り出した。広い庭で七輪に底に炭を入れ、上で薪を燃やした。

「ふたりで、煙が出なくなるまで、うちわであおいでいてくれる?」
「まっかせて」
「やけどするから、あんまり近づいちゃだめだよ」
「火傷かあ、したことないなぁ」
「だ、ダメだからね!」

好奇心とは恐ろしい。火に近づかないことをきつく言い含めて、台所に戻り夕食の準備をする。元から大したものは作っていないし、すぐに料理は終わった。あとはご飯が炊けるのを待つだけだ。ふうと息を吐いたタイミングで、庭の方から私を呼ぶ声がする。鯵の開きを持って庭へ急いだ。
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